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2016 年度 実施状況報告書

部分・全体関係を表す表現の日英対照研究

研究課題

研究課題/領域番号 15K02618
研究機関摂南大学

研究代表者

田中 秀毅  摂南大学, 外国語学部, 准教授 (50341186)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2019-03-31
キーワード部分構造 / タイプ・トークンの関係 / 代名詞と指示詞 / 指示的解釈と非指示的解釈 / ヒト名詞とモノ名詞
研究実績の概要

本年度は、タイプ・トークンの関係を表す英語部分構造(A of B形式)について考察した。具体的には、Bの要素として代用形が生じる「代用形型」(two of themなど)と指示詞をともなう名詞句が生じる「指示詞型」(たとえば、two of those applesのthose applesが非指示的で、りんごの種類を指す読み)に注目した。
代用形型はモノ名詞とヒト名詞の両方に用いられる。たとえば、two of themはI bought two of them(‘その(種類の)りんごを2つ買った’them = apples)にも、I know two of them(‘アメリカ人の学生を2人知っている’ them = American students)にも生じる。一方、指示詞型はモノ名詞には用いられるが、ヒト名詞では容認性が低下する。たとえば、I bought two of these apples(‘このりんごを2つ買った’)は容認されるが、??I know two of these American students(‘このようなアメリカ人の学生を2人知っている’)は容認性が低下する(ただし、‘これらのアメリカ人学生のうちの2人’という部分・全体の関係の解釈なら可)。
指示詞型がヒト名詞と整合しない要因として、指示詞theseを含む名詞句をタイプ解釈しづらいということがある。すなわち、手にとった特定のりんごをタイプ化してtwo of these apples(‘このりんご2つ’)と表せるが、目の前の特定の学生をタイプ化してtwo of these students(‘この種の学生2人’)とするのは個別性の捨象となり、非礼とみなされるため用いられないようである。これに対して、thoseを用いた場合にはこの問題は回避され、タイプ解釈が可能であることが確かめられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

予定した課題に取り組み、一定の成果が得られたため。

今後の研究の推進方策

本年度の研究でA of B形式のBの要素が指示詞のtheseをともなう場合に、ヒト名詞とモノ名詞でタイプ化の違いが生じることが示された。この調査の過程で、Bの要素に含まれる形容詞もタイプ化に影響することが判明した。
たとえば、2人の話者AとBの会話でAがBが飼っている猫をみてyou have a cute catと発話し、BがI have two of themと答えた場合、two of themの解釈はtwo cute catsではなく、two catsになるようである。すなわち、Bの要素がタイプ化されるときに、評価形容詞のcuteが除外される。これに対して、American studentsのように形容詞が客観的な性質(属性)を表す場合には、Americanが除外されずにタイプ化されるようである。たとえば、2人の教員AとBの会話でAがBに対してDo you have any American students in your class?とたずね、BがI don't have any this year. I hope I'll have some of them next yearと答えた場合、部分構造のsome of themがsome American studentsと解釈される。
以上から、Bの要素のタイプ化の問題は、指示詞だけでなく、形容詞の性質も加味して掘り下げる必要がある。

次年度使用額が生じた理由

2017年3月下旬に本年度の研究課題に関するインフォーマント調査を実施するための出張を予定していたが、日程調整の都合により2017年度に延期することになったため。

次年度使用額の使用計画

2017年度中に当該研究出張を実施する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件)

  • [雑誌論文] ofとout ofが表す部分・全体の関係2017

    • 著者名/発表者名
      田中秀毅
    • 雑誌名

      摂大人文科学

      巻: 24 ページ: 127-147

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり

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公開日: 2018-01-16  

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