本研究課題の目的は、大規模な英語文献デ-タベ-スや電子言語コ-パス、英語辞書・英文法書などを用いて、特に初期近代英語期から現代英語に至るまでの英語表現の構文化、とりわけ語彙化について、その実態を明らかにすること、および、近年着実な進展を見せている、認知言語学・構文文法理論から言語表現の通時的変化を説明するという試みに対して、その研究手法の妥当性を検証し、有効な方法論を構築・提案することである。 本研究は、自動詞他動詞交替や所格交替に代表される交替現象を起こす英語表現の初期近代英語期以降における発達を調査・記述する実証研究と、認知言語学において標準的に採用されている用法基盤モデルに基づく方法論の開発と説明にかかる理論的研究、に大別される。研究の最終年度となる今年度は、これまでと同様、理論構築のための研究書の調査・分析を行った。所格交替については、スウェーデンのウプサラで開催された第6回後期近代英語における国際学会(The Sixth International Conference on Late Modern English、LMEC6)にて口頭発表し、その研究成果の一部が南山大学短期大学部紀要終刊号に掲載されている。 さらに、大規模デ-タベ-スや電子コ-パスを用いて、sprayやloadに代表される交替動詞の初期近代英語期における使用の実態を調査し、特にloadの通時的発達の状況を調査し、その内容を論文の形にまとめる予定である。
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