研究課題/領域番号 |
15K02625
|
研究機関 | 豊田工業高等専門学校 |
研究代表者 |
神谷 昌明 豊田工業高等専門学校, 一般学科, 教授 (40194980)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 句動詞 / 接頭辞付動詞 / 古英語 / 現代英語 |
研究実績の概要 |
前年度(2016)で,通時的コーパスであるThe York-Toronto-Helsinki Parsed Corpus of Old English Prose (以下YCOE) を利用して接頭辞付動詞,特にup- + 動詞,out- + 動詞を全て抽出し,句動詞の起源である古英語に現れる接頭辞付動詞の基礎資料を作成した.up-は20の動詞とout-は36の動詞と結合することが分かった.今年度(2017)では,古英語の接頭辞付動詞が現代英語までどの程度存続しているのか,古英語接頭辞付動詞と現代英語に残る接頭辞付動詞の対応関係,さらに句動詞との対応関係をOEDの記述を踏まえながら,表に示した.また,古英語接頭辞付動詞から句動詞(特に動詞+副詞辞)への移行過程において,どのように語義通りの意味(語源的意味)から比喩的意味に移行していったのか, 具体例を小学館British National Corpus (以下BNC)や『研究社・ロングマン句動詞英和辞典』を用いて示した. 古英語接頭辞付動詞の多くは,現代英語において接頭辞付動詞は廃語または“まれ”にしか使用されなくなってきている. 古英語接頭辞付動詞の接頭辞up-, out-は語義通りの意味(上下の運動)であるが,句動詞になると古英語の接頭辞に対応する副詞辞は語義通りの意味(上下の運動)だけではなく,比喩的意味になり半イディオム構文を形成することが分かった.さらに個々の単語(動詞・副詞辞)の意味から全体の意味を類推することが困難な句動詞(高度なイディオム)に発達していることが各々の例から判断できた.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は,古英語の接頭辞付動詞が現代英語までどの程度存続しているのか,古英語接頭辞付動詞と現代英語に残る接頭辞付動詞の対応関係,さらに句動詞との対応関係をOEDの記述を踏まえながら,表に示すことであり,所記目的をほぼ100%達成することができた.
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究として,中英語(ME)に接頭辞付動詞(up- + 動詞, out- + 動詞)がどの程度継続しているのか,さらに中英語で確立した接頭辞付動詞(up- + 動詞, out- + 動詞)をThe Penn-Helsinki Parsed Corpus of Middle English Second Edition(以下PPCME 2)を利用して抽出する.最後に,古英語接頭辞付動詞と中英語に引き継がれた接頭辞付動詞,さらに中英語で確立した接頭辞付動詞を表にまとめる.
|
次年度使用額が生じた理由 |
前年度から約7万円が繰り越しとなった.理由は予定していた学会や文献調査が本務校の公務と重なり出張することができなかった.
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度の文献調査費・報告書作成に充当させる。
|