研究課題/領域番号 |
15K02626
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山田 悦子 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 准教授 (70600659)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | クリティカルシンキング / 多文化クラス / 異文化間教育 / 日本語教育 / 英語使用 / 日本語使用 / 日本人学生 / 留学生 |
研究実績の概要 |
クリティカルシンキング(批判的思考力)の育成の重要性は広く注目されるようになったが、外国語教育(英語教育)等の単一文化クラス環境の中で行われていることが多い。本研究では、多様な価値観との接触が既存の自己の価値観を問い直す原動力となる点に着目し、大学の留学生と日本の学生が共に学ぶ多文化クラスにおけるクリティカルシンキングの育成を目指したシラバスの開発に取り組んできた。多文化クラスにおけるクリティカルシンキングの授業による実践研究により得られた示唆により、1)多文化環境とクリティカルシンキング育成の関連性について実証に基づいた学問的な体系整理をするとともに、2)同内容の授業実践を日本語使用の場合と英語使用の場合に分けて行い、使用言語に関する問題についても明らかにする研究計画を立てた。英語による授業と日本語による授業の比較により、特に日本人学生の特徴的な役割の傾向が明らかになった。 上記の内、これまでに英語による授業と日本語による授業とでデータ収集を終えた。データ分析の段階で当研究において核となる日本人学生のサンプル数が十分でないと判断し、追加で英語による授業を一学期間実施した。 授業後の振り返り、コースレポート等の学生の産出物を研究参加に同意した学生の者のみ対象データとし、また何名かの学生を対象としたフォローアップインタビューのデータも収集し、文字化、分析を行った。分析はほぼ終了し、学会での口頭発表を終え、複数の論文を執筆中である。それらを通じて分析をさらに精緻なものに仕上げ、最終年度(平成30年度)を終える予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
授業においてデータ収集を実施するところまでは予定通りであったが、その後データ分析作業に入ってからサンプル数を増やす必要性を感じたため、同内容の授業を追加で実施し、追加でデータ収集を行った。また、当初予想していたよりも、データ分析自体に時間がかかることが判明したことも遅れに影響した。
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今後の研究の推進方策 |
データ分析作業には難航したが、当初の最終年度の平成29年度末時点でほぼ終了し、複数の論文執筆の完成が見えてきた。論文出版という形で結果が出るまでにかかる時間を鑑み、事業期間の延長手続きを行い、一年間延長することに決めた。平成30年度はこれらの論文を形にし、成果を総括することに全力で取り組む予定である。 同時に当研究から抽出されてきた「日本人学生の英語使用」という課題を当研究以降の研究テーマと認識し、新規の科研費研究として平成30年度より取り組むことにした(「平成30~32年度基盤研究(c)多文化クラスにおけるリンガフランカとしての英語(ELF)の構築」として採択済み)。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進捗状況に合わせ、当初の最終年度(平成29年度)にその後一年間の事業期間延長をしたため、国際学会発表を一回延長した期間に行うことができる程度の額の余剰が出るように調節した。
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