研究課題/領域番号 |
15K02631
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
佐藤 尚子 千葉大学, 国際教育センター, 准教授 (40251152)
|
研究分担者 |
松下 達彦 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (00255259)
橋本 美香 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (70462041)
笹尾 洋介 豊橋技術科学大学, 工学部, 准教授 (80646860)
田島 ますみ 中央学院大学, 法学部, 准教授 (90534488)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 日本語語彙サイズテスト / 学術語彙テスト / 漢字変換力テスト / 日本語語彙量測定 / 日本語使用者 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、日本語の語彙量を用いて、1つのスケールで日本語使用者の日本語能力を測定するテストの開発である。研究分担者の1人である松下によって開発されている日本語非母語話者用の語彙量テストを利用し、多様な背景を持つ日本語使用者の一般語彙に関する語彙量テスト、大学の学びに必要な学術語彙および漢字能力に関わるテストの開発を行うものである。これにより、日本語に関して多様な背景を持つ学習者を対象としたカリキュラムの開発に貢献できる。 平成27年度は、使用頻度5万語までを範囲とした語彙サイズテスト、漢字能力を測る漢字変換力テストの開発と実施、平成28年度に実施予定の学術語彙テストの開発を行った。まず、平成27年4月~5月に国内4大学の日本人学生を中心とした500人に使用頻度5万語までの語彙サイズテストを実施し、データの収集を行った。その結果を8月に開催された日本リメディアル教育学会第11回全国大会で発表した。また、9月に国内2大学で使用頻度5万語までの語彙サイズテストを4月に実施したものとは別の形式で実施し、テスト形式による違いについて分析を行った。 次に、平成27年7月~28年2月に、日本国内・韓国・中国・インドの大学および日本語教育機関で日本語学習者400人に対し、使用頻度5万語までの語彙サイズテストと漢字変換力テストを実施し、データの収集を行った。来年度の発表を目指し、分析を行った。 そして、来年度の実施のために、2月~3月に、学術語彙テストの開発を行った。 また、本研究の先行として、平成26年度に行った使用頻度3万語までを範囲とした語彙サイズテストの結果を「日本人大学生の日本語語彙量測定の試み」(中央学院大学『人間・自然論叢』第41号 平成28年1月発行)という題で論文にまとめ、発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度に実施を計画していたのは、①使用頻度5万語までを範囲とした日本語語彙サイズテストの実施とその分析結果の発表、および、論文としてまとめ、投稿を行うこと、②学術語彙テストおよび漢字能力を測るテストの開発、③平成28年度に開催される日本語教育国際研究大会での発表の準備の3点である。 ①については、使用頻度5万語までを範囲とした日本語語彙サイズテストを国内4大学で実施し、データの収集を行った。その結果を8月に開催された日本リメディアル教育学会第11回全国大会で発表した。また、9月には国内2大学で使用頻度5万語までを範囲とした日本語語彙サイズテストとは異なった形式で行い、テスト形式による違いについて、検討した。しかしながら、論文にまとめ、投稿する段階には至らなかった。一方、当初、予定していなかった海外での調査を行うことができ、国内と合わせ、日本語学習者400人に対し、日本語語彙サイズテストを実施し、データの収集を行った。②については平成28年度の実施を目指し、学術語彙テストを開発した。漢字能力を測るテストとして漢字変換力テストの開発を行い、日本語学習者400人に対してテストを実施し、データの収集を行った。③の発表の準備については①②で収集した日本語学習者400人のデータの分析を行い、発表の申込を行った。 以上より、当初の計画について概ね実施できたと考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
平成28年度は①国内および海外での学術語彙テストの実施し、その結果を8月に開催される日本リメディアル教育学会第12回全国大会で発表する、②9月に開催される日本語教育国際研究大会で、平成27年度に収集した日本語学習者400人の日本語語彙サイズテストと漢字変換力テストの結果を発表する、③既に行った日本語語彙サイズテスト、漢字変換力テスト、学術語彙テストの検証を行い、改善案について検討する、④平成27年度に実施した使用頻度5万語までを範囲とした日本語語彙サイズテストの結果を論文にまとめ、発表することを考えている。 また、最終年度(平成29年度)に向け、本研究の成果の発表方法(特にWeb上での発表方法)についても検討する
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度に、韓国・中国で調査が順調に行えたため、さらに、インドの大学・日本語教育機関での調査も計画した。そのため、前倒し申請をし、70万円の配分を受けた。しかしながら、その後、インドでの受け入れ先の都合により、調査を中止せざるをえなかった。このため、大幅な未使用額が生じることとなった。
|
次年度使用額の使用計画 |
平成28年度には、日本語教育国際研究大会(於・インドネシア)での発表、および、韓国・台湾など海外での調査を実施することを考えている。このため、未使用額も有効に活用できると考える。
|