研究課題/領域番号 |
15K02638
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
原田 三千代 三重大学, 教育学部, 特任講師(教育担当) (50543211)
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研究分担者 |
中尾 桂子 大妻女子大学短期大学部, 国文科, 准教授 (20419485)
福岡 寿美子 流通科学大学, 商学部, 教授 (60330487)
田中 信之 富山大学, 国際交流センター, 准教授 (80288331)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | アカデミック・ライティング / 対話的評価活動 / 記述式内省活動 / ルーブリック / 協働的推敲活動 / M-GTA / 自律的学習態度 / 自己内対話 |
研究実績の概要 |
本研究では5つの教育機関のアカデミック・ライティングのクラス活動において、学習者の主体性・協働性・自律性の育成をめざしたクラス活動を実施した。まず、佐藤(1995)、OECD・DeSeCo(ライチェン&サルガニク2006)に基づいた学習目標を作成し、学習過程に対話的評価活動を埋め込んで、学習と評価活動の一体化を図った。対話的評価活動とは、協働的推敲とルーブリックを用いた記述式内省活動を組み合わせたものである。対話的評価活動の可能性を探るため、M-GTA(木下2003)を参考に、学習者の認識の変化を調査・分析した結果、対話的評価活動を習慣化することで、学習者の認識は《知る》《理解する》《実行できる》から《学びの実感》へと概ね一定の深化へ向かっていくことがわかった。ただし《理解する》から《実行できる》に移行するには《自己内対話》の活性化が必要だと考えられる。また、対話的評価活動は「学習としての評価」(石井2015)という性質を備えており、自律的学習態度の育成につながっていくこと、さらに《自己内対話》の活性化によって批判的探究が生じ、テキスト・他者・自己との対話が循環・統合されていくことが示唆された。 したがって、本研究における対話的評価活動は、論理的文章に対する能動的批判的な読みを通した学習者の主体性、推敲活動による他者との協働性、内省記述による自律的学習態度の育成に関わっていると考えられる。今後、このような活動がアカデミック・ライティングのクラス活動を起点として、初年次教育、留学生教育、キャリア教育などを進めるきっかけとなっていくことが期待できる。それと同時に、21世紀のグローバル社会を生きる市民に必要な能力の一つとして、昨今、頻繁に取り上げられている批判的思考力との関連性やその育成についても、実証的に考えていくことを今後の課題としたい。
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