研究課題/領域番号 |
15K02640
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
大塚 薫 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 准教授 (30372733)
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研究分担者 |
林 翠芳 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 教授 (00341628)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 遠隔教育 / ピア・ラーニング / グループワーク / 日本語授業 / 実証研究 / 協働 / チューター / アクティブ・ラーニング |
研究実績の概要 |
本研究は、日本語教授法を学ぶ学生を対象に国内外の日本語教育現場で実践的な教授法を遠隔で学習するとともに、日本語学習者にとってコミュニケーション能力を図るためにグループ別ピア・ラーニング授業を実施し、その長所、短所及び特性の把握、分析を通して教育現場での直接的な応用を研究するものである。 遠隔授業の方法としては、日本語教育現場で実際に行われている授業に遠隔で参加した後、授業の狙いや教授方法について担当教師に直接指導を受ける。その後、日本語教育実習として会話及び作文の授業において日本現地から複数の日本人学生チューターがインターネットを通じて参加し、学習者との対話を中心に授業を進行していく。 また、小グループ人数の妥当性やレベル別日本語学習能力の向上に焦点を当て各授業を比較するとともに、学習者の会話及び作文能力に対する分析を基に考察を行い、教育現場への実践可能な応用を考案していく。 これらの研究実施計画に基づき、本年度は3年計画の2年目であるため、本研究に協力してくれる大韓民国の明知大学校と高知大学をSkype並びにモバイル機器で繋ぎ、小グループに分かれてピア・ラーニング授業が行われた。本授業は中上級レベルの留学生対象の日本語授業であるが、日本人学生チューターが参加し、少人数グループに分かれて討論、発表並びに学生交流を行い、遠隔授業方法に関するアンケート調査が実施された。 また、中国においても高知大学と常州大学で実施されている中級レベルの日本語学習者対象の授業内でSkype及びモバイル機器を繋いで実践的な研究が行われている。その授業にも日本人学生チューターが参加し、小グループに分かれて実践的なピア・ラーニング授業を実施しているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、高知大学と韓国の明知大学校で行われている中上級レベルの日本語学習者対象の授業に日本人学生チューターが参加し、実践的な少人数グループ化日本語協働授業が行われた。その実践授業の成果をまとめた研究が2016年8月に行われたSPOD(四国地区大学教職員能力開発ネットワーク)フォーラム2016にて「国際教育を主眼とした日韓遠隔協働学習授業の構築」というタイトルで発表された。さらに、2015年度に高知大学と韓国の明知大学校とで行われた実践研究が2016年9月に開催された日本語教育国際研究大会BALI ICJLE2016にて「学習者参加型日韓グループ別遠隔日本語協働授業の構築―画像通話機能を活用したピア・ラーニングの取り組み―」という題目で口頭で発表された。 また、高知大学と中国の常州大学で実施されている中級レベルの日本語学習者対象の授業においても日本人学生チューターが参加し、ピア・ラーニング授業が行われているところであるためである。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては、日本と中国で協働で行われている中級レベルの日本語学習者を対象とした日本語授業において、引き続きスマートフォン等モバイル機器を活用した遠隔授業を日本人チューターのサポートを受けながら実施していく。そして、複数のチューター参加型遠隔授業において、少人数グループを何名で構成するのが妥当かについても同一クラス内でチューターの人数を変えて授業を実施し、学習者の発話・質問回数及びその内容や授業アンケートを分析した上で検討していく。 その上で、今回の実践研究で実施した各授業別に調査したデータを比較・分析し、コミュニケーション能力育成に特化した複数のチューター活用授業の実践的な応用を考え、研究報告書にまとめていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、遠隔授業を実施するのにあたり、将来日本語教育に従事する学生を抱えるゼミと連携を組み協力体制を敷いたこと、アンケート調査を集計してくれる研究補助員を大学の経費で賄うことができたことが挙げられる。そのため、授業に参加する遠隔チューターや資料整理及びアンケート集計のための研究補助員の謝金等が繰り越されている状況である。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、中国との遠隔授業を実施するためにかかる諸費用並びにその遠隔授業に関する研究を発表するための学会参加費用、研究報告書を発行するのにかかる費用が使用される計画である。
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