研究課題/領域番号 |
15K02643
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
古本 裕美 長崎大学, 国際教育リエゾン機構, 准教授 (80536326)
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研究分担者 |
迫田 久美子 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 日本語教育研究・情報センター, 客員教授 (80284131)
山内 豊 東京国際大学, 商学部, 教授 (30306245)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | シャドーイング / 海外日本語学習者 / 運用能力 / 教材開発 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,海外日本語学習者の運用能力を養成するシャドーイング教材を開発することである。平成28年度は,主に以下の3つを行った。
1. 教材の修正と補充:まず,平成27年度に作成した教材19課分(モノローグ計36トラック,ダイアローグ計44トラック)を,約半年間,研究代表者と研究協力者の教育機関で試用した。その過程で,修正すべき箇所を収集した。その後,スクリプトを修正し,教材音声の再収録を行った。その際,N3レベルの教材を5課分,新たに追加した。 2. 挿絵と教材ホームページの作成:教材の内容に合わせたデジタルデータの挿絵(計25カット分)を作り始めた。それと同時に,まずは,本研究のメンバーが教材にアクセスできるよう,ホームページ(試作版)を作成した。 3. シャドーイング練習支援のための質問紙調査:シャドーイング練習時,教員はどのような支援ができるかを探るため,日本語学習者が,「シャドーイングのどのような点に困難を感じているか」と,「シャドーイングはどのようなことに役立つと感じているか」を尋ねる質問紙調査を行った。対象は,国内外の中等・高等教育機関で学ぶ日本語学習者約170名(平均日本語学習歴34.4ヶ月,平均シャドーイング練習歴11.1ヶ月)であった。その結果,困難点として最も多かった回答は,モデル音声のスピードであった。これは,教育機関を問わず多く見られた回答であった。一方,シャドーイング練習が役に立つ点としては,発音,イントネーション,アクセントが自然になることを挙げる学習者が多かった。これらに次いで,新しい語彙,文型,助詞,表現が覚えられることや,日本人の話すスピードに慣れることを回答した者も多かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「教材開発」については,当初,4課分を作成し終えることが平成28年度の目標であったが,23課分を作成することができた。一方で,平成27年度に作り終えた分の試用と修正,音声の再収録に時間がかかったため,「自動評定システム」の開発にまで至らなかった。このシステム開発に必要な実験で用いるモデル音声の編集は既に終えているので,計画を整え次第,その実験を開始する。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は,まずは,「シャドーイング自動評定システム・チーム」を中心に,音声コーパス構築のための実験を国内外で行う。その後,日本語シャドーイング音声の自動評定システムの構築を行う。「教材試用・実践研究チーム」は,秋まで試用版での実践を続けた後,課題点と改善点を整理する。「e-learningシステム開発チーム」は,教材音声の再編集と,挿絵の作成を終わらせた後,教材ホームページを整理する。上記システム開発が遅れた場合に備え,研究代表者は,紙媒体とCDでも本教材の試用版を配布できるように,作業を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
自動評価プログラミング,音響モデル作成などの作業が次年度にずれ込むことになったため,それらの作業で使用する予定だった謝金と物品の予算が未使用となった。
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次年度使用額の使用計画 |
主に,自動評定システムの開発に必要な,謝金と物品の購入に充てる。
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