研究課題/領域番号 |
15K02648
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研究機関 | 東京国際大学 |
研究代表者 |
岡本 能里子 東京国際大学, 国際関係学部, 教授 (20275811)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | マルチリテラシーズ / メディアリテラシー / ビューイング / 日本語教育 / 複数モードコニュニケーション / 記録と記憶 / 批判的談話分析 |
研究実績の概要 |
本年度は、昨年度に続いて、日本言語政策学会の「メディアと言語政策」の分科会において、「メディアとしての教科書・教材を考える」と題した企画を担い、日本の国語教科書、ドイツの歴史教科書の図や写真、イラストとテキストとの関係に焦点をあて、言語教育におけるビューイングの考え方を意識して言語教育に組み込む必要性を提示した。 国際語用論学会では、2つのパネル発表を行った。1つは、オバマ氏広島訪問とプラハ演説報道における写真をはじめとするビジュアル要素と大統領のスピーチとの相互作用から、伝えられるメッセージを批判的に分析し、何が伝えられたのかを明らかにした。2つ目は、目的のある話し合いのLINEチャット分析を通して、スタンプや写真と文字の相互作用を通したマルチモードのコミュニケーション実態を検証した。 これらの発表を通して、国内外で、日本語の4種類の文字と縦書き横書きという世界でまれな正書法を駆使し、マルチモードによる意味構築がなされている実態を明らかにし、そこに埋め込まれるイデオロギーや価値感に気づくためのマルチリテラシーズ育成が言語教育に必須であることを強く伝えることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記のように国内外での発表を行うことができ、それらを確実にまとめて出版する企画も出版社で受理されている。 論文として印刷中のものもあり、昨年度の成果を今年度は確実に公開していく道筋がたっているため、(2)とした。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は最終年度となるため、マルチリテラシーズ育成のための教材作成を進めることと、それらを使用した小学校などでも実践を行う予定である。その場も、確保されている。 関西での月に1回の研究会や、年に2回の公開研究会実施は決まっており「ビジュアルナラティブ」という次への研究の進展や方向性も見出せている。 米国からのビジュアルコミュニケーション研究者を招聘することも決定しており、論文と書籍に確実にまとめていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度は、国内研修後の1年となり、各学会での研究成果発表と学内業務で多忙となり、渡航は、7月のイギリス(ベルファースト)のみで、持ち越しになっていたオーストラリアのマルチリテラシーズ研究者訪問が、叶わなかった。また、最終成果として企画していた刊行本も、依頼していた執筆者からの原稿の進捗が遅く、刊行は1年持ち越しとなった。 これらの理由から、延長申請を行い、承認された。 今年度は、最終年度となるため、8月にオーストラリアまたはカナダ、11月に米国からの研究者の招聘、12月から2月に公開研究会に使用し、出版までつなげたい。
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