研究課題
今年度は、最終目標となる、マルチリテラシーズ育成のための教材作成を目指し、言語文化教育学会のパネルでは、日本語教師用のマンガ教材をもとに「フォーラム・シアター」の手法を用い、参加者の語りから、マルチリテラシーズ育成の必要性について議論した。また、日本言語政策学会では、路線図などのデザインを手がけている研究者と共に、「公共サイン」を分析し、外国人にとってわかりやすいサインとは何かについて、検討した。さらに、日本語教育学会の市民への一般公開プロジェクトでは、「外国人住民とともに考える安心安全な町づくりー日本語教育から見たリスク・コミュニケーションー」と題し、共通語だけではなく、方言の理解や、文字テキストだけでなく、ピクトグラムやイラストに埋め込まれた文化的な要素の理解も必要であることを明らかにし、4技能に「見る(ビューイング)」を取り入れた日本語教育教材を作成する必要性について検討した。また、社会言語科学会では、「LINEコニュニケーションー文字を伴ったスタンプに注目してー」とし、スタンプというビジュアル要素をふまえたコミュニケーション過程を明らかにし、ビューイングを日本語教育に取り入れる必要性を確認した。最終目標である、マルチリテラシーズ育成のための教材と研究書の出版はできなかったが、すでにそのための研究の蓄積までは行うことができた。今年度の、春季の学会においては、日本語教育学会において、「外国人受け入れ側のコミュニケーション課題―選ばれる国を目指してー」と題したパネルと、日本言語政策学会では、「外国人受け入れに向けた学校、企業、公共サービスの課題―国内外の受け入れ側の研修プログラムを通して考える」と題したパネルが採択されている。本科研の成果をもとに、外国籍児童や外国人受け入れ側の研修のためのマルチリテラシーズ育成のための教材作成にも繋げていく予定である。
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『相互行為研究④ ―談話とイデオロギー』言語文化共同研究プロジェクト2017
巻: 4 ページ: 29-38
社会言語科学
巻: 21 ページ: 392-396