研究課題/領域番号 |
15K02657
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
池田 伸子 立教大学, 異文化コミュニケーション学部, 教授 (30294987)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ディスレクシア / 教員養成 / 態度変容 / KAPギャップ / 教材開発 |
研究実績の概要 |
28年度は、ディスレクシアを抱える学習者に対して的確に、そしてポジティブに教育支援が行える日本語教員を養成するためのプログラムについて、態度変容の理論に基づいて開発を行った。さらに、教育現場で実際に支援を行うためには、態度の変容にとどまらず、それを自らの行動に結びつけていく能力が必要であることから、「KAPギャップ」を埋めるために効果的な活動を組み込むための方策を考えた。また、教員養成プログラムで使用する教材(主として視聴覚メディア)や組み込む活動(シミュレーションやフィールドワーク)について、その選択にあたって留意すべき事項を明らかにした。態度変容を目指す場合、視聴覚メディアや実施体験を安易に組み込むことが多いが、その危険性に言及するとともにどのように教材を選ぶべきかを示せたことは意義があると思われる。 また、9月24日には、「ディスレクシア日本語学習者に対する日本語教育支援と対応可能な日本語教員養成 ―さらなる多様性への挑戦―」というテーマでシンポジウムを実施し、国外の研究協力者から担当地域で行われているディスレクシアを抱える学習者に対する支援の実態や使用されている教材について共有するとともに、国内でディスレクシアについて研究している専門家から、日本語教育に適用可能な支援法や教材などについての示唆を与えていただいた。このシンポジウムで得た知見をもとに、支援教材については、「教員の教材作成を支援する」立場と「学習者の学習を支援する立場」という2つの立場で利用可能な教材のデザインを行う必要があることに気づけたことは大きい収穫であり、教員の教材作成支援については、フォントや文字の大きさなどを変更できる支援ソフトの開発を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
先行研究や各国の事例の共有やとりまとめはほぼ終了した。さらに、ディスレクシアを抱える学習者に対応可能な教員養成プログラムおよび、個別の症状に合わせた支援教材や支援法については、おおむねデザインが固まりつつある。また、教員養成プログラムにおいては、使用する教材についても選択が終わっている。
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今後の研究の推進方策 |
29年度は、28年度にデザインした教材を利用可能なレベルまで開発を進めるとともに、教員養成プログラムについても毎回の授業計画レベルまで実施案を完成させる。さらに、29年度中に、教員養成プログラムについては、少人数の学生を対象としたトライアルを実施し、その効果を予備的に検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際シンポジウムの開催にあたっての旅費が予想よりも低く抑えられたこと、また、開発プログラムを利用したトライアルの効果を検証するための統計ソフトなどの購入を29年度に持ち越したことによる。
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次年度使用額の使用計画 |
開発プログラムの効果を質的に検証するために必要な統計ソフトの購入、および、トライアル協力者への謝金などで利用する。
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