研究課題/領域番号 |
15K02658
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
金庭 久美子 立教大学, 日本語教育センター, 教育講師 (60733772)
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研究分担者 |
橋本 直幸 福岡女子大学, 国際文理学部, 准教授 (30438113)
川村 よし子 東京国際大学, 言語コミュニケーション学部, 教授 (40214704)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | タスク別メール文 / 書き言葉コーパス / メール文の自動採点システム / メール文の評価 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、日本語母語話者、および日本語学習者によるタスク別(依頼、勧誘、断り、お礼、相談、等)の作文(メール文)のデータを蓄積し、書き言葉コーパスとすること、ならびに、そのコーパスの作文を分析し、構成、内容、文法、表現、語彙、文体などを明らかにした上で、そのデータをリスト化しコンピュータに学習させ、「メール文のweb自動採点システム」を開発することを目的としている。 1年目の平成27年度は、日本語母語話者、学習者(韓国語、中国語、ドイツ語母語話者)、各グループ30名ずつ、計120名、10~12タスク、計1320データを収集した。ドイツ語母語話者のデータ収集は目標人数に達するまで平成28年度も引き続き行った。一方、「メール文のweb自動採点システム」の開発を行った。 2年目である平成28年度は収集したデータの分析を行い、8つのタスクに対し、特に、文法、表現についての分析を行った。その中で、各言語母語話者に対する読み手配慮のための表現のリストを作成した。またその結果にもとづき、韓国語母語話者にとって留意しなければならない表現について学会等で発表を行った。 また、web自動採点システムβ版の開発を進めており、搭載するリストのアップロード、ダウンロードが可能になった。さらに各タスクが自由に選択できるようにwebデザインを調整中である。またこのシステムの成果の一部として、ウェブ上で使用可能な「文体チェッカー」を作成した。このシステムは、各タスクに共通の文体を確認するためのものであるが、レポートの文体チェックなどにも使用可能なものである。それについても学会等で発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在収集した各母語話者のデータをもとに分析を行っており、評価項目を選定し、順次リスト化している。特に、表現の分析を行い、「読み手配慮のための表現」のリストを作成し、韓国語母語話者がメール文を作成する際の留意点を明らかにすることができた。また、他の言語母語話者のデータに対し、引き続き同様の分析を行っている。 メール文のweb自動採点システムβ版は、現在http://hanatayori.farm.overworks.jp/において運用実験を開始しており、現在学習のために効果的なwebデザイン(レイアウト)の検討を進めている。しかしながら、システムに搭載するデータリストがまだ整っていないため、1つのタスクしか運用実験ができなかった。今後も収集したデータの分析を進め、各タスクのリストの8月までの搭載を目指す。
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今後の研究の推進方策 |
学習者(中・韓・独)のデータは十分に収集できたため、これらのデータをもとに構成、内容、文法、表現、語彙、文体のリストを作成し、メール文のweb自動採点システムβ版に搭載する。そして、メール文のweb自動採点システムβ版を公開し、日本語教育学会、日本教育工学会、日本語教育連絡会議などで、成果発表を行い、システムの利用の協力を依頼する。さらに、協力を依頼した日本語教師、及び、日本語学習者の評価をもとに、β版の改良を行う。 また、分析したデータをもとに、今年度もメール文の使用実態を報告するとともに、その指導の際の留意点と、指導方法について、学会などで発表を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度は予定していた国際学会が大学の学期中にあったため行くことができず、旅費を使うことができなかった。また、ドイツ語圏は終了したが、その他の欧州圏の学習者データ収集が全て終わっていないため、謝金(業務依頼)が一部残っている。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度は研究成果を報告するため、国際学会に応募しておりそのための海外渡航費のための旅費が必要である。また、学習者データ収集を引き続き行い、さらに、システムの運用実験の評価を行う予定で、そのための謝金の費用が必要である。
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