本研究は、これからの多文化共生社会の中で、災害時に情報弱者となりうる外国人の災害時コミュニケーションの円滑化を目指し、支援ツールを作成することを目指すものである。具体的には、a) 実際に外国人が言い換えた災害語彙を基に、よりわかりやすい表現に直した「もっとやさしい日本語」を推奨し、b) それらの情報を含む「災害語彙データベース」の構築を進めてきた。これまでの活動の経過や成果の概要については、年度末に科研費成果報告書『多文化共生社会に向けての災害時コミュニケーションに関する総合的研究』を作成し、協力各所、関連研究者に配布した。 a)「もっとやさしい日本語」の提案 地域の外国人支援団体やボランティア団体、大学関係者に、「もっとやさしい日本語」と災害語彙の対応が記載されている「災害支援カード」を配布した。併せて、その内容に関するアンケートを配布・回収し、「もっとやさしい日本語」の修正・改善を目指したフォローアップ調査をおこなった。その結果、「もっとやさしい日本語」の修正案をはじめ、災害支援ツールの必要性についての意見等を得ることができた。詳細については、上記報告書にまとめた。 b)「災害語彙データベース」の構築 前年度までに集めた災害語彙データを基に、データベースに記載する語について選定作業を進め、「災害支援カード」掲載の83語に加え、111語を新たに設定した。また、それらの語に対応する「もっとやさしい日本語」を検討するため、在留外国人を対象にした言い換え案調査を実施した。なお、この調査については、現在も継続中である。具体的な構築経緯、概要などについては上記報告書にまとめた。
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