英語での授業において、リキャストの種類により日本人上級レベル学習者の気づきに違いが出るかを想起インタビューを用いて調べた結果、語彙に関するリキャストへの気づきが一番多く、続いて、文法、発音という順になった。変更点の違いによる気づきの差はなかった。また、英語での授業でのリキャストにおいて、学習者の気づきをどのように測るべきかを課題として、想起インタビューを用いて分析した結果、単に「承認」した場合では気づきが起こっておらず、「修正」した場合に気づきが起こっている傾向があることが判明した。また、データの質的分析により、英語での授業での教師からのフィードバックで、新しい語彙や文法を学習していくことの困難さが判明した。具体的には、すでに明示的な知識が獲得されている、あるいは獲得されつつある状況において、教師からのフィードバックに対して気づきがおこり、自らの誤りを修正していくことが判明した。このことから、英語で授業をおこなった場合においても、コミュニケーションやフィードバックの学習への効果に過度に期待せず、基本的には明示的な文法指導を十分に行った後、教師と生徒、あるいは生徒同士でのコミュニケーション活動を行うことの重要性が示唆された。英語発話における自己修正については、文法の難易度による自己修正の成否の違いについて調べ、特に大きな差はないという結果を得たが、研究のデザインや分析等で課題が多々あり、今後の継続が必要である。
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