本研究の目的は、新学習指導要領(平成29年度告示)に示された、読むこと・書くことの学習につながる文字指導、文字と音の関係の指導(フォニックス)、さらに文法への気付きを促す指導(フォー カス・オン・フォーム)を盛り込んだカリキュラムを開発するものであった。これらを何年生からどのような形で指導するのが効果的なのかについて、都留文科大学附属小学校の協力のもと検証し、最終的に1年生から6年生までの小学校英語教育カリキュラムを提案することを目指して研究を進めた。 まず、何年生の段階でどのように、文字、文字と音の関係(フォニックス)、読むこと・書くこと、文法への気付き(フォーカス・オン・フォーム)の指導を取り入れれば効果的なのかを文献研究をもとに考え、カリキュラムの原案を作成した。そして、都留文科大学附属小学校教師全員の協力のもと、研究授業を実施した。研究授業では、授業者以外の教師が役割分担をし、児童の学びの様子を記録した。授業後の協議会では、児童の様子をもとに指導内容と指導法について協議を行った。このような過程を経ながら、研究代表者は、児童の様子や教師の意見をもとにカリキュラムを修正しながら改良していった。 その結果、文字指導や文字と音の関係の指導(フォニックス)については、指導の在り方が明らかになり、読むこと・書くことの指導の全体像が見えてきた。これまで中学校で行われてきた手法ではなく、小学生の発達段階にあった、音声中心の指導と関連させながら、なだらかに音声から文字へ移行するカリキュラムが完成しつつある。また、文字指導に入る以前の低学年児童用に絵本を題材とした音声中心のカリキュラムを完成させることができた。しかし一方、文法への気付きを促す指導(フォーカス・オン・フォーム)については十分に検証を行うことができず、今後の課題として残った。
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