研究実績の概要 |
本プロジェクトは、前回の科研研究(基盤(B))で策定したCEFR準拠のJS:ジャパンスタンダードの12レベルの「言語能力」参照枠に、「異文化コミュニケーション能力」(ICC:Intercultural Communicative Competence)の参照枠を付与して、包括的な英語コミュニケーション能力一覧表の策定をめざした。プロジェクト4年目となった平成30年度は、前年度に引き続きCEFR, ICC, CLIL等に関する国内外での事例や実証的研究、および文献や資料について精査および検討を行い、「JS:異文化コミュニケーション能力」の到達指標の策定に応用可能なエッセンスを抽出し、枠組みのプロトタイプを作成した。一方で、日本人英語学習者が異文化コミュニケーションを実体験する場として、大学生の海外研修・海外留学がある。前記のエッセンスを基に、異文化コミュニケーション能力の伸びを質的に測定できるCAN-DO方式のアンケートを作成して、前年度に引き続き研究代表者の勤務校における海外研修・海外留学への参加学生を対象に、事前・事後アンケートを実施しデータを蓄積および分析を行った。質的・量的分析の結果を「異文化コミュニケーション能力」参照枠の策定に反映させつつその原案を集約中となっている。また、研究分担者は、かねてより学術交流を行っているボスニア・ヘルツェゴビナの言語教育の専門家とタイアップし、とりわけ早期英語教育におけるCLILについての知見を蓄積した。平成30年度は日本人大学生に現地にて体験させた文化交流を基に、異文化コミュニケーションの実態および習得のプロセスを明らかにした。
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