研究課題/領域番号 |
15K02693
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
浅野 雅樹 慶應義塾大学, 文学部, 准教授 (70514131)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 中国語教育 / 中国語辞書 / 中国語語彙 |
研究実績の概要 |
当初の計画に従い『漢語国際教育用音節漢字詞彙等級大綱』(2010 年)』、『新HSK 詞表5000』(2008 年)、『中国語初級段階学習指導ガイドライン(2007 年)』などのガイドラインから、日本人学習者(第一言語としての日本語話者)にとって語彙学習及び習得が困難である語の選定作業を進めた。主に語の難易度の基準を設けることに本研究の意義があると言えるが、主に二つの側面から研究を進めた。 一つは、語の語彙的性質、特徴、つまり、語形、語義、語用面で、どの要素が学習者の語彙の学習や習得に関する難易度を高める要因となっているのかという点を注視し、考察を行なうという方向性である。今年度は、既存の辞書で採用される「釈義方法(中国語)」について、計10前後ある方法の中で、日本語話者の中国語学習にとってどの方法に有用性があるのかという点や、また、被釈義語と釈義方法の関係性などの面から考察を行った。さらに語義の面での体系性を、どのように辞書や教材に導入するのかという観点から、「反義語」について、既存の辞書に対する用例を調査し、その問題点を指摘し、語彙教育に効果的に該当事項を取り入れる方策をテーマとした研究論文を執筆した。 もう一つは、学習者の側から見た、学習者の語彙に関する知識や能力に応じた方向性での選定作業である。学習者に対するアンケート調査を行い、語彙論の体系的知識の中の数多い項目に対して、学習者の理解度を測定した。その結果に応じた語彙指導の方法や内容を探求し、学習辞書や教材で、個別の語が持つどのような語彙情報を取り入れるのが適切であるのかという点をまとめ、国際会議において学術報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本語話者を対象とした中国語学習辞書の作成というテーマに対して、収録するに値する語の選定を行ない、おおむね順調であったが、計画した数には届かなかったので引き続き行なう必要がある。研究計画の段階でもある程度は認識していたが、今年度研究を進めるにあたり、「釈義方法」に関する調査、考察のより強い重要性と必要性が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
学習辞典に収録する語を選定すると同時に、辞書や教材における「釈義方法(語釈の方法)について、語の特徴に応じた上で、学習者にとって有用性のあるものを考察する。また、語の難易度を測る基準を確立することを目的とし、語が持つ語彙的性質や特徴の面からの考察および分析、さらに学習者に対して「語の難易度」に関するアンケート票を作成し、実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
主にアンケート調査のための人件費を予定した分が、アンケート表の作成が研究上の必要からまだ未完成で、次年度に実施予定となったため。
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次年度使用額の使用計画 |
主にアンケート調査のための人件費として使用する予定である。
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