前年度までにことばを学ぶ力と一般的なパズルやクイズを考える力の関わりについて考察を行った。その結果,ことばを学ぶということが,ことば独自の脳部位に関わるものである一方,一般的なパズルやクイズを考えることを司る脳部位とも連携をとって行われている可能性があることが示唆された。また,研究で得られた知見を踏まえ,外国語教育分野での教育実践法への提案を行った。こうした成果を踏まえ,最終年度にあたる本年度は,新しいことばを学ぶという経験が言語使用者の資質・能力,例えば一般的なパズルやクイズを考える力にどのような影響を与えうるのであろうかといった問題について,取り組んだ。特に,外国語学習者を対象として生涯における新しいことばの学習そしてその時期が後に学ぶ別の外国語学習時の一般的なパズルやクイズを考える力や新しいことばの学習能力と関係するのかを検証し発表した。最終年度までに,こうした研究の展開を支える基盤として,第一外国語や第二外国語の言語教育研究者から賛同と多大な支援を得ることが出来た。考える力とことばを学ぶ力の神経基盤とその発達機序を明らかにし,本研究の目標を達成する上で,複数の言語にわたり,教育実践者や教育研究者から指南を得,また教育問題の研究会に貢献できたことは糧となり,本研究の成果につながった。また今年度も複数分野で成果を公表することにより,それぞれの分野での識者との交流から研究を一層推進すると共に,領域間での成果還元に貢献した。
|