研究課題/領域番号 |
15K02695
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研究機関 | 国際基督教大学 |
研究代表者 |
岩田 祐子 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (50147154)
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研究分担者 |
村田 泰美 名城大学, 外国語学部, 教授 (70206340)
大塚 容子 岐阜聖徳学園大学, 外国語学部, 教授 (10257545)
重光 由加 東京工芸大学, 工学部, 教授 (80178780)
大谷 麻美 京都女子大学, 文学部, 准教授 (60435930)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 英語会話 / 日本語会話 / 初対面 / 聞き手 / 関与ストラテジー / 教材 / 指導マニュアル |
研究実績の概要 |
平成27年度は、英語会話の聞き手の言語行動を詳しく分析し、日本人英語学習者が英語会話に積極的に参加するために必要なストラテジーである「自己開示を行う、質問をする、コメントをする、あいづちをうつ、関連ストーリーを語る、話し手の語りへの評価を行う」などの観点から日英語対照分析を行った。英語会話の聞き手は、たとえ初対面であっても、上記のストラテジーを使って最初から積極的に会話に参加し、話し手とともに話題を発展させ、また自分も聞き手から話し手となって話題をさらに発展させていることがわかった。それに対し、日本語会話の聞き手は、初対面ではあいづちをうつことに終始し、「良き」聞き手として、話し手の話を促すことが多い。この日本語会話の聞き手としての言語行動を、英語会話にそのまま転移すると、英語ネイティブ・スピーカーの参加者からは、日本人は話題に積極的に参加しないなどと否定的な評価を受ける恐れがある。平成28年度は、平成27年度の対照分析をさらに進めるとともに、これまでの分析結果に基づき、英語会話の聞き手の言語行動、すなわち積極的に会話に関わる関与ストラテジーを日本人英語学習者に具体的に教えるための教材や指導マニュアル作成を主に行った。英語会話と日本語会話の実際のビデオを見せて、聞き手の言語行動の違いにまず気づかせた上で、自己紹介から始まり、聞き手として相手の話題に積極的に関与し話題を発展させる、聞き手だけでなく話し手となって話題を発展させることに必要なストラテジーを一つずつ段階を追って教える教材と指導マニュアルを作成した。この教材や指導マニュアルを使って、パイロット授業を行ったところ、参加者全員が聞き手として話題に積極的に関与し、自らも話し手となって話題を発展させる英語会話を行うことができた。参加者からのフィードバックをもとに教材や指導マニュアルの改良も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度の研究目標は、二つあり、第一は、平成27年度の分析をさらに進め、英語会話の聞き手の言語行動をさらに詳しく分析し、日本人英語学習者が英語会話に積極的に参加するために必要なストラテジーを解明するというものだった。英語会話の聞き手の言語行動を、自己開示を行う、質問をする、コメントをする、あいづちをうつ、関連ストーリーを語る、話し手の語りへの評価を行うなどの観点からさらに詳しく分析することができた。第二の目標は、これまでの分析結果に基づき、英語会話の聞き手の言語行動を日本人英語学習者に教えるための教材作成や指導マニュアル作成であった。教材や指導マニュアルを作成し、作成した教材や指導マニュアルを使って、パイロット授業を行い、フィードバックを得て改良も行った。教材や指導マニュアルはほぼ予定通り作成することができた。教材や指導マニュアルを使って、英語会話へ聞き手として参加する際に必要な関与ストラテジーを日本人英語学習者に具体的に教える目処がついた。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、平成28年度の分析結果を7月に北アイルランドのベルファーストで開催される国際語用論学会において研究発表することになっている。また、教材や指導マニュアルについて、8月の大学英語教育学会大会のシンポジウムで発表することになっている。その他、11月及び12月に東京と名古屋で、作成した教材や指導マニュアルを使って、どのように教えるかの英語教員向けのワークショップを開催する予定である。科研費の最終年度であり、これまでの研究成果を学会で発表し、論文としても発表する、教材や指導マニュアルを使って英語教員に向けたシンポジウムやワークショップを開催することを目標に研究を続けていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度は、会話データのさらなる分析とそれに基づく教材や指導マニュアルの作成、パイロット授業に終始し、研究成果の発表をするあまり余裕がなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度は、平成28年度の分析結果を7月の国際語用論学会において研究発表することになっている。また、教材や指導案について、8月の大学英語教育学会大会のシンポジウムで発表することになっている。その他、11月及び12月に東京と名古屋で、作成した教材や指導マニュアルを使って、英語教員向けのワークショップを開催する予定である。科研費を使用してこれらの費用を支払う予定である。
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