本研究では、前年度に引き続き中学生の英語の読みの躓きについての調査を実施した。被検者は、武蔵野市立中学校3年生の学生である。本研究で対象とした中学生は、小学校で英語の外国語活動を経験しているが、読み書きの訓練はやっていない。絵本の読み聞かせなどテキストを「読んで」それについて 口頭で答える、会話をするといった教育を受けてきた生徒であった。「読んで」とあるが、単語を正確に理解して読んでいくといった中学校で行う「読み」ではなく、目で認識するというレベルであったようである。中学生の読みの躓きを調査するために、3人一組のグループ学習での指導を通して躓きの原因について調査した。被検者には、音読をさせて、音と文字の関係について教授する、テキスト理解を目的とした英語による質問をしながら、理解できていない部分を探っていった。また読む活動の後に、英語で書く活動をさせながら、理解度を確認した。結果として、音声による英語の訓練(聞くこと)には慣れているが、話すこと、正確にテキストを読むことは難しいことが分かった。さらに英語で書くことは大変困難で、音と意味の関係について「英語で綴る」習慣がほとんどないことが原因ではないかと思われた。平成17年1月に参加した武蔵野市の「外国語・英語科部研究部会」でも話題に出たが、実際に中学校では英語で書く活動はほとんどしていないことが原因ではないかと考えた。英語で聞く話す活動の後に、英語の理解を確実なものにするために、英語で書く活動を取り入れて、語彙や文法規則の理解を定着させることが大切であることを確認することができた。今後の課題として、英語の読み書きに躓いている学習者のために段階的に助けることのできる指導法が必要であると考えた。
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