研究課題/領域番号 |
15K02701
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
印 省熙 早稲田大学, 文学学術院, 准教授 (10445702)
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研究分担者 |
山田 佳子 新潟県立大学, 国際地域学部, 教授 (10425366)
宋 美玲 東京外国語大学, 外国語学部, 研究員 (50572822)
白 寅英 獨協大学, 国際言語文化学部, その他 (80749945)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 日本語母語話者 / 韓国語学習 / 中級学習者 / 専攻学習者 / 作文 / 誤用 |
研究実績の概要 |
本研究は、日本語母語話者の韓国語学習における誤用の分析を通じて、学習上の困難点を見出し、そのような誤用を防止するための指導案を作ることを目的としている。研究初年度である今年は中級学習者のうち、専攻学習者における誤用の特徴の把握につとめた。具体的には先ず、韓国語専攻の2年次生24名が1年間、21のテーマで作文した文章(総計3,136文、29,943語節)を研究資料とし、それについて4名の共同研究者による誤用の判断・確認作業を経て、最終的に約3500の誤用例を採集した。採集の誤用例を「文法論的誤用」「意味論的誤用」「表現・談話論的誤用」「表記上の誤用」の項目に分けて分類・確認作業を行い、それぞれの項目の誤用の特徴を見出した。その結果、「文法論的誤用」では助詞の漏れが最も多かったが、特に助詞「を」格の使い方における誤用が著しく、接続形では日本語の「して」と訳される多様な形式における誤用や、「する」と「した」のテンスにおける誤用、連体形の時制選択における誤用、形容詞と動詞の品詞の取り違えによる誤用が顕著であった。「意味論的誤用」では日本語の漢語を直訳したことによる誤用や、連語や類義語における誤用が多く、「表現・談話論的誤用」では主語や目的語、副詞などが不足した例が多く、それらを省略する日本語の影響が見られた。なお「表記上の誤用」では日本語で「ウ」「オ」「エ」と現れる母音の二つの形式における誤用が多かった。このような誤用が非専攻学習者においても同様に見られるかどうかについての検討を次の研究課題としている。 その他、パイロット研究として上級クラスで学ぶ非専攻学習者の誤用についての分析や、韓国語中・上級クラスにおける学習項目についての考察を個別の研究として行い、今後の研究のための基礎資料を作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の研究を進めるにあたり、誤用例の判別や誤用内容の分類と確認作業に予想以上の時間を要したため、当初、研究資料として利用する予定であった音声資料は除き、作文資料に限定することにした。なお作文資料のうち、本年度は専攻学習者による作文を扱い、非専攻学習者の作文については次年度に作業を行うことにしている。本研究内容についての口頭発表を1回行い、その内容は次年度に論文として発表する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
初年度は、専攻学習者の作文に見られる誤用の特徴について整理した。次年度はそれに続き、非専攻学習者の作文における誤用の特徴を見出し、両者をもって中級学習者の誤用例とする。その後はそれらの誤用の様相を踏まえ、誤用の原因分析、テキスト分析を経て、誤用防止のための指導案作りを順次進めて行く予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度必要分の使用が終了したため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に使用予定。
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