研究課題/領域番号 |
15K02706
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
赤松 信彦 同志社大学, 文学部, 教授 (30281736)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 冠詞学習 / 教科書分析 |
研究実績の概要 |
英語教科書コーパスの作成:昨年に引き続き、平成24年度以降に発刊された中学校英語教科書と高校英語教科書(English Communication I & II)の各課及び付随的教材(リーディング用教材として教科書に納められている正課以外の教材)で使用されている本文を対象にコーパスを作成した。今年度課題であった高校英語教科書(English Communication I & II: 34冊)のコーパス化を終了し、中学校英語教科書(18冊)と高校英語教科書(English Communication I & II:44冊)に基づくコーパスを作成した。 冠詞学習プログラム作成:名詞の可算性に関する学習システムの効果を検証した。その結果、学習者が持つ名詞への可算性のバイアスの強さが顕著であり、認知言語学的アプローチを用いても特定の名詞についてはその認識を変容させることは困難であることが明らかになった。具体的には、可算名詞を不可算名詞として使用する場合と不可算名詞を可算名詞として使用する場合の学習効果を比較した結果、抽象名詞や物質名詞と呼ばれる不可算名詞を可算化するコンテキストでの冠詞使用に関して、学習効果は見られなかった。一方、可算名詞が量や抽象的事象を表すコンテキストで使用されている場合、冠詞使用に関して学習効果が見られた。この結果から、英語冠詞学習システムでは、学習者の可算性に対するバイアスの変容を促すようなアプローチの必要性が示唆された。この結果を受け、名詞の可算性に関する教材や学習プログラムの改良を行った。なお、名詞の可算性に関する学習システムの効果の検証結果は2016年7月にイギリスのバンガー大学で開催された認知言語学会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
英語検定教科書の文中における冠詞使用に見られる特徴とその問題点の分析に関しては、コーパス化は終了したが、分析には至っていない。 名詞の可算性に関する教材及び学習プログラムは開発したが、予備調査の結果、学習者の可算性に対するバイアスの変容を促すようなアプローチが必要であることが示されため、名詞の可算性に関する教材の改良が必要となった。そのため、冠詞学習プログラムに必要とされる可算性と限定性の学習教材のうち、当初予定して限定性に関する学習プログラムの開発はできなかった。
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今後の研究の推進方策 |
(1) 学習対象語(名詞)の可算性、限定性に関する頻出分布を明らかにし、その典型性を分析する。 (2) 限定性の学習教材の開発は続けるが、まずは、名詞の可算性に関する学習プログラムの改良とその効果の検証に重点を置いて研究を遂行する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた、英語検定教科書の文中における冠詞使用に見られる特徴に関して、コーパス分析ができなかった。そのため、コーディングに伴う謝金等に積算していた費用が未使用となった。また、冠詞学習プログラムに必要とされる名詞の可算性と限定性の学習教材のうち、当初予定していた限定性に関する学習プログラムの開発ができなかった。そのため、画像や動画作成等、学習プログラム作成費に積算していた費用が未使用となった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、英語検定教科書の文中における冠詞使用に見られる特徴に関するコーパス分析を行い、今年度予定した、コーディングに伴う謝金等に積算していた費用を使用する。また、限定性に関する学習プログラムの開発を行い、今年度予定した、名詞の可算性と限定性の学習を含んだ、冠詞学習プログラムの完成を目指す。
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