研究課題/領域番号 |
15K02706
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
赤松 信彦 同志社大学, 文学部, 教授 (30281736)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 外国語学習 / 冠詞 / 認知言語学 |
研究実績の概要 |
本年度は英語冠詞学習用プログラムで使用する教材開発の準備として、名詞の可算性に対する日本人英語学習者(大学生)の感覚を調査した。具体的には、可算と不可算の日本語訳の相違が英語名詞の可算性の判断を容易にするという仮説を立て、可算・不可算の両方の意味を持つ英語名詞のうち、比較的頻度の高い英単語、109語(例、chicken)を選び、43名の大学生に対し、それらの名詞に対する可算性判断を7段階(1:絶対に数えられない~7:絶対に数えられる)で評価させた。さらに、各英単語の日本語訳を提示し、それぞれの日本語訳に対する可算性も7段階で評価させた。日本語訳は、英語名詞の可算性に応じて訳が異なる218語(例、ニワトリ、鶏肉)であった。 分析の結果、可算・不可算とも両方の意味合いを有するという評価をした単語は全体の約25%に当たる23語であることが明らかになった。また、可算名詞と判断された単語は37%の34語、不可算名詞と判断された単語は57%の52語であった。また、日本語と英語の可算性の間に強い相関(r=.846, p<0.001)が見られ、日本語訳の可算性判断は英語名詞の可算性と強く結びついていることが明らかになった。この結果より、可算と不可算の日本語訳の相違が英語名詞の可算性の判断を容易にするという仮説は認められなかった。また、日本人英語学習者は英語の名詞に対する可算性のイメージに偏りがあることから、冠詞使用で重要な要素である名詞の可算性判断の学習は、教材として選定する名詞が持つ可算性のバイアスを受ける可能性があることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初、学習システムの独自開発を計画していたが、近年発表された関連研究の成果を鑑み、ネット環境をより簡便に活用できるような学習システムを開発することに計画を変更した。さらに、この変更に伴い、業者に開発を部分的に依頼することを決定したが、その選定に予想以上の時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度実施した研究結果に基づき、冠詞学習用教材で使用する英単語を特定する。そして、それぞれの単語を用いた例文や、それら例文を描写する視覚教材を作成する。これら教材作成と同時にネット環境をより簡便に活用できるような学習システムを開発する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、学習システムの独自開発を計画していたが、近年発表された関連研究の成果を鑑み、ネット環境をより簡便に活用できるような学習システムを開発することに計画を変更した。さらに、この変更に伴い、業者に開発を部分的に依頼することを決定したが、その選定に予想以上の時間を要した。そのため、当初、平成29年度に研究を終了する予定であったが、次年度に当たる平成30年度まで研究を延長した。 平成30年度は学習システムの開発とその効果の検証を行う予定である。
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