本年度は研究最終年度であり、研究成果の公表及び本研究に続く発展的研究を視野にいれた、データの蓄積を行った。具体的には、これまでの研究成果をWeb上で公開するためにホームページを作成し、学会発表等の際の資料、研究成果をまとめた論文を公開した。 従来、外国語教材作成は、教授する側が、学生のニーズを把握し、語彙、語法、表現、テーマなどを設定したうえで、文法項目の簡単なものからより複雑なものへと段階的に進んで行く、というプロセスを経ることがほとんであった。本研究においては、アンケート調査において、学生にニーズを把握した後、教材の一部を学習者自身が自らの関心のあるトピックを選び、内容を中心としたオリジナル教材を自ら作成するという方法で、中国語初級教材を作成した。トピックは学習者自身が設定し、対話文も基本稿は学習者が中国語で作成する。教師は学習者が作成した基本稿に対し、正しい中国語に修正するとともに、語彙の難易度、文法事項の難易度という観点から修正を加えたものである。教材の一課分は、語彙、文型、対話文、練習問題の他に、言語の背景にある「文化」への気づきを「コラム」形式で学習者自身が100字程度で日本語で記述した。こうした教材作成手法は、学習者の学修時間と学習形態に合わせて、たとえば学期のまとめとして、学習者にこれまで学習した語彙、文型を元に、自分のテーマに沿った教材を自ら作成するという形で、授業の中に組み込むことが可能である。 本研究に続く発展的研究として、分野別コーパスの構築を構想しており、芸術系小規模コーパス構築のため、中国の義務教育における美術科教科書のコーパスを作成し、高出現語彙を品詞別に調査し、参考資料としてWeb上に公開した。さらに中国で採集した芸術系授業の音声データも試聴できるようにホームページを作成した。
|