研究課題/領域番号 |
15K02724
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研究機関 | 前橋工科大学 |
研究代表者 |
原島 秀人 前橋工科大学, 工学部, 教授 (30238175)
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研究分担者 |
神田 明延 首都大学東京, 人文科学研究科, 准教授 (10234155)
山内 真理 千葉商科大学, 商経学部, 准教授 (40411863)
ローソン トム 長崎国際大学, 人間社会学部, 講師 (40645157)
佐藤 慎一 日本福祉大学, 公私立大学の部局等, 教授 (10410763)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | LTI / 相互運用 / LMS / Moodle / 協働学習 / eラーニング / オンラインコラボレーション |
研究実績の概要 |
本年度の活動の目標としては単一活動の相互運用の枠を超え、オンライン学習コース全体を相互運用する試みを掲げた。コースで相互運用することにより、そこに参加する教師達が学習者の行動や進捗をより管理し易くなり、学習者全体にアナウンスや指導を行うことができる様になるからである。まず取り組んだのは、大学間で新たなLTIオンライン交流コースを設定し、Money vs. Time というテーマで討論をする活動である。コース内で学生を6つのグループに分け、グループ毎にお金と時間とどちらが大切と思うかを英語を使いディベート形式で討論させたところ、大学間の対抗意識もあり、白熱したやりとりが各グループで展開された。教師はグループを超えたファシリテーターとして助言や刺激を与え、討論を活性化させた。LTI接続によって学習者は自分のLMSからスムーズに活動に参加することができ、また、活動の評価もLTIにより各ローカルLMSに自動的かつ正確に、一つのコースの評価として反映されたことが確認できた。 コースシェアリングの成功が確認できたので、次に取り組んだのは、コースをコースらしく設計して相互運用することであった。導入アンケートから始まり、TOEIC関連R&L学習、確認クイズ、内容についてのフォーラム討論、発展的フォーラム、総括的アンケート、とコースを設計し、一つの活動を終えないと次の活動に入れない様設定した。結果は、複数の教師の協力的なオンライングループ指導により、複数大学に学ぶ学習者がコースを進めて行く過程を全体的に管理し、活動を完結させ、各個別活動とコース全体に与えた評価がローカルLMSのコースの成績表の中で、入れ子コースとして反映され、その評価割合も自由に変えることができることが確認された。これにより、教育機関間でオンラインコースの相互利用が格段にし易くなる可能性が確認されたことは大きな成果と言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度はLTIプロジェクトを進めるにあたって必要となる情報インフラの整備を行ったので、新しいVPSホストサーバー、ドメイン、SSL接続などが整ったが、LTI接続(学習ツール相互運用性)を検証すると、あるクライアントサーバーで何度設定を変えても期待通りの結果が得られないという問題が残った。そこで本年度はLTIクライアントサーバーのOSを刷新し、LMSのバージョンもアップグレードしつつLTI接続の実験を繰り返す事により、問題解決に至ることができたことは本プロジェクトを進める上での大きな障害を取り除けたと言える。 目標としていたLTIによるオンラインコースシェアリングも当初の計画通り遂行できた。オンラインコースの共同利用はSCORMなどによる共通教材の受け渡しやオンラインHUBなどのリポジトリーを利用する形態があるが、第三の方法としてLTIを利用して直接リモートコースに接続し、そこで学習した結果を自動的に自分のオンラインコースに反映させることが出来ることが検証出来た。これによりこれから益々オンライン学習の共通化が進んで行くものと期待される。 国際的な進展もあり、アメリカプリンストン大学、イギリスコベントリー大学ともLTIを用いたLMSの連合プロジェクトが進み、MoodleとBlackboardとの相互運用による学生同士のタンデム学習が実現できた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きLTIを利用した学生同士の交流、協働学習活動を進めて行く予定である。今年度始まった国際的な協働プロジェクトを更に充実させ、オンライン国際交流(バーチュアルエクスチェンジ)活動に積極的に取り組んで行く。 また、本年度3大学の学生に対してこの様なオンライン学習全般に対する小規模アンケート調査を行ったが、今後さらに質問項目を再考し、オンライン学習への適性、英語学習への不安、見えない相手と英語で議論することへの自信、学習効果、などの点をもう少し深く掘り下げて行きたいと考えている。 さらにラーニング・アナリティックスなどのツールを活用し、学習者の学習行動に関するビッグデータの収集と分析を行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費については当初予定していた学会が取りやめになったり、年度末に行われた学会の実費用が当初の見積りより少額であったため余剰金が生じた。また備品費については予定していたツールを試用した結果不採用としたためと、文献の購入を延期する判断をしたため余剰金が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
予定の文献購入と、活動用資料・素材の収集費用、また海外の学会参加のための旅費に充てる予定である。
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備考 |
LTIを用いたLMS相互運用のためのホストサーバーとして稼働している。
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