研究課題/領域番号 |
15K02725
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研究機関 | 東北学院大学 |
研究代表者 |
金 義鎭 東北学院大学, 工学部, 教授 (30364285)
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研究分担者 |
金 惠鎭 日本大学, 商学部, 教授 (40399176)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | スマートデバイス / BLE / 学習意欲 / ARCSモデル |
研究実績の概要 |
平成28年度の研究では、大学生の生活実態の調査をもとに、自宅を中心とした学習現状を把握した。また、現在の大学生は事前・事後の学修活動が極めて不足し、単位制度に相応しい学習量まで満たさなかったことも確かめた。これらの状況を打開するために、本研究では、自宅以外の多様な日常生活でも気軽に利用できるきめ細かい教育指導マネジメントを設計・試作を行った。例えば、スマートデバイスの中に、学習管理用のタイマー機能を組み込み、一定の学習時間が満たさなかった場合、画面の学習を促す学習モニタリングを考案した。しかし、iPhoneとAndroidの両方のOSに対応までは至らず、次年度までに完成したい。 また、授業外の学習意欲を引き出すためには、先に授業内における学習意欲を向上させる必要もあり、ARCSモデルを検討した。ARCSモデルとは,学習意欲に関する要因を注意(Attention),関連性(Relevance),自信(Confidence),満足(Satisfaction)の4つに分類したモデルである。このARCSモデルを既に他教科科目で試みた結果、事前・事後のアンケート結果から、その有意の差を見出した(電気系学生実験におけるスマートデバイスを活用した学習意欲の向上:情報処理学会)。次年度は韓国語授業に適合するARCSモデルを確立し、学習者の学習意欲の推移を確認したい。 最後に、授業内の学修の延長線上の活動で、学習者に授業外でもその内容を復習させるために、授業内の無線通信方式を利便性が高いBLE(Bluetooth Low Energy)のネットワーク構成を検討し、実験を通してその利用可能性を見出した(Bluetooth Low Energyを用いた学内マップアプリケーションの開発:東北地区若手研究者研究発表会)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年度で、申請者らは、単純な操作で即時に学習できる教育マネジメントの機能を試作した。具体的には、予習・復習・課題実施システムの構築と,主体的な学びの促進を支援するための学習コンテンツの試作を行った。なお、反復学習による暗記の自習が必須である外国語学習において、通学時や自由時間にも韓国語に触れる学習機会を提供することは効果的である。試作した具体的な開発項目と内容は下記のとおりである。 (1)短時間の集中でより効果的に語彙が暗記できるよう、記憶データシステムとマルチメディアを積極的に活用したドリル型暗記システムを試作した。 (2)事前・事後学習:対面の学習を充実させるため、授業前に予め学習内容を配信し、学生が自発的に取り組むよう予習専用の学習コンテンツを試作した。また、授業後、対面授業内容の再確認と質問事項を教員に送信できる復習専用の学習コンテンツを試作した。 (3)学習モニタリング:教員は常にネットワークを介して、学生の授業外の学習状況が確認でき、そのデータを基に持続的な指導および学習奨励ができるシステムを検討した。 一方、試作した学習コンテンツの動作環境はiOSのみで、実際の授業内・外の両方で学習者の利活用には限りがある。そのため、Androidの開発も必要であるが、iOSとAndroidとの異OS間のBLEネットワークの環境構築がやや遅れている。そこで、次年度はGoogle Driveの導入も検討し、その問題を検討・打開する予定である。最後に、学習意欲向上の観点から、試作した学習コンテンツ構成にARCSモデルの適用を検討した。すでに、他教科科目において、ARCSモデルを試みた結果、学生の学習意欲を高めることができたので、韓国語教育にも適用したい。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度で、申請者らは、単純な操作で即時に学習できる教育マネジメントの機能をもつ韓国語の学習支援システムを完成する予定である。また、正規韓国語授業の中で実践活用を通して、従来の一方的な教授・学習法と比べて提案した学習支援システムの優位性を明らかにしたい。その際、提案する学習支援システムは、韓国語教育・学習における学習意欲向上に適合するARCSモデルに基づいて、前年度に試作した学習コンテンツを配置・構成する。そのため、先に対象者に対して事前アンケートを行い、現状の分析から学習意欲の要因を詳細・系列化を図る必要がある。 また、正規の韓国語授業で、これまで開発した韓国語教育ツールの活用を積極的に取り入れ、多様な学習形態と授業内容における学習効果の評価を行う。具体的には、授業外学習の有・無(授業外の学習ツールの使用vs.使用しないグループ、学年および習熟度別のグループ)の条件別に実践を行いたい。これらの実践を通して、本研究では被験者のスマートフォンのデータベースに蓄積された学習記録を調べて、学習効果との関連性を統計的手法で明らかにしたい。さらに、実践活用では外部の検定試験(現在、ハングル能力検定試験(5級)を想定している)などを導入することで、客観的な評価の根拠として利用したい。 最後に、本研究で提案する韓国語教育ツールを用いた教育マネジメントがどのように学習意欲の向上に繋がりし、その結果の影響で単位の実質化のみならず、教育の質向上にも寄与したかを具体的かつ客観的なデータで提示する。
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次年度使用額が生じた理由 |
iOS用のパソコンとスマートデバイスの支出金額が予定の金額と比べて、すくなかった。また、予定した論文掲載代も次年度に発生することになった。
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次年度使用額の使用計画 |
開発した学習支援システムを正規講義で実施するために、予備端末を購入予定である。また、論文論文掲載代も支払う予定である。
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