研究課題/領域番号 |
15K02729
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研究機関 | 昭和女子大学 |
研究代表者 |
金子 朝子 昭和女子大学, 文学研究科, 教授 (10138505)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 子どものリテラシー / 小学校で使用する英語絵本教材 / 絵本の指導プロセス |
研究実績の概要 |
本研究は、平成26年度までに科学研究費補助金を受けて作成した「英語物語コーパス」から、子どもを対象とした英語の物語でよく用いられる語彙やフレーズを抽出し、また、英語の物語の展開の特徴を分析した結果も活かして、日本の英語教育、特に小学校での英語教育に資する絵本教材の作成と提供を目的としている。「行って、経験して、帰ってくる」という話の運びや、同じ表現を何回も用いるなどの子ども向けの物語の特徴を生かし、また、コーパスから抽出した使用頻度の高いフレーズや語彙も参考に、物語のサンプルを作成し、最終的には、現場の教員がテンプレートを利用して入門期の英語指導に活用できるような、子供たちの日常生活等に根差した英語の物語を作成できる仕組みを作ることを目指している。 作成した物語を使用してのモデル授業の結果等に基づき、昨年度は、絵本の指導に於ける学習者同士のインタラクションの重要性についての研究発表を海外の学会で行った。また、アメリカ、カナダ、オーストラリアで追加言語として英語を指導している教師と、日本で絵本を用いた英語指導を行っている教師へのアンケート調査を実施し、各国での指導の特徴や、どのような物語を用いているのかなどを論文にまとめ、本年度当初に発表した。 小学校での英語教育は、いよいよ本年から公式にスタートしているが、この研究から、海外での絵本を用いた追加言語としての英語指導から学ぶべき点も明らかにされている。今後は、単に英語授業での学びを確実にするために、授業で学んだ語彙や表現を使用した物語を活用するだけではなく、国語教育と連携し、英語を通して子どもたちのリテラシーをより高めるために「読む」スキルを身に付けるという視点をより重視することが望まれると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
日本に加えて、アメリカ、カナダ、オーストラリで母語としてではなく追加言語として英語を指導している教師を対象にアンケートを実施したが、回答の回収に想定以上の時間がかかったこと、また、何ページにもわたる回答もあり、その集計に予定以上の時間が必要となった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、現場の小学校の英語指導者向けに、海外で子供たちに英語を指導する教員たちからのアンケートの回答に基づいて、特によく用いられている物語や、英語絵本の指導の手順などを積極的に国内外で発表するなど、これまでの研究の成果を公開していく予定である。 また、これまでと同様に、研究者が作成した物語とその指導例を新しい物語と共にWEB上に追加し、現場の英語指導者が活用しやすいサイトを作成する。また、その他、国内外の絵本図書館、博物館や、絵本を専門にする書店等に関する情報もより充実していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
本務の都合上、計画していた海外出張、国内出張が予定通り実施できず、次年度使用額が生じた。次年度は、本研究の成果として公開しているホームページを更に充実すると共に、本研究の成果を学会等で発表し、引き続き論文として発表する予定である。
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