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2015 年度 実施状況報告書

プレオーガナイズド学習システムを礎としたARCS連鎖志向型習得モデルの構築

研究課題

研究課題/領域番号 15K02736
研究機関至学館大学

研究代表者

前野 博  至学館大学, 健康科学部, 准教授 (00369597)

研究分担者 淺間 正通  東洋大学, 公私立大学の部局等, 教授 (60262797)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード協調学習 / CSCL / 学習SNS
研究実績の概要

ネットワーク活用型協調学習において学習意欲や学習効果に対する寄与が示されてきたが、情意分析の困難さやフリーライダーの存在など、問題点の指摘もあった。そこで、ネットワーク活用型協調学習を情・意・知の包括的な語学学習環境と見做した上で学習者の社会的存在感(貢献度)を向上させる方略を探ると共に、そこから学習者における互恵的語学学習環境の構築へと結びつけることを企図した。
まず、調査結果から、以下のように学習の場という人的集合体としての学習コミュニティの要件が明らかになった。
学習コンテクストを包括的に保存する必要性を生じさせることから、結果として学習コミュニティは、構成員の情・意・知を包括的に交流させ得る環境(吉田、2008)となり、学習者の社会的存在感を高める環境と位置付けられる。SNS(Social Networking Service)上の学習空間においては、情動的知能を裏付けとして、等価交換的な情・意・知の贈与から、リニアな贈答性をもった情・意・知へと発展するが、他者への信頼が知識共有を可能とし、さらに表出・共有された情意や知識に対して影響力のある他者が認知することにより、贈答的知の連結が起こりやすくなり(涌田、2008)、結果として社会的存在感を高める。また、社会的存在感はSNSの設計や評価において有用な観点ともなり得る。(山田、2010)
したがって、SNS等のシステムを援用したCSCL(Computer Supported Collaborative Learning)においては、各学習者の貢献度の測定を通して社会的存在感の推定が可能となる。また、そこからシステムの評価も可能となる。これについては、発話情報分析によるグループ学習時の貢献度推定の可能性に関する指摘(大信田、2016)もあった。
また、SCSLでの知識共有に関して、Web上に構築したホワイトボードを模した情報共有システムの有用性における知見(中村、2012)から、GUI(Graphical User Interface)の実装も検討したい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究初年度においては、近年の類似研究やICT(Information and Communication Technology)活用型教育実践の調査の結果、現在までに行ってきたシステム要件に関する考察においては、まだシステム構成要件が不十分であると考えられた。そのため、改めて本研究におけるシステム構築のための要諦を再検討することとした。したがって、システム構築のための要件定義を行う部分等に関しては2年目より行うこととし、今年度においては主に先行研究調査や文献調査をに重点をおいて、基礎的研究を行った。システム構築のための開発環境調査など、その他の研究進捗に関しては特段の遅れ等はなく、順調に推移した。

今後の研究の推進方策

本研究2年目の目標としては、語学学習における自律的協調学習環境の構築とその試用によるデバッグ並びに知見獲得にある。したがって、まずは年度前半に協調学習環境としてのシステムの要件定義とその前提となる先行研究調査や文献調査、フィールド調査等を通して構成要件の獲得と整理を行う。
次にそれらからシステム要件定義を行うと共に、実際に実施する学習内容の設計並びに教材作成を行う。
年度後半においては、上記協調学習システムを実際の学習において試用し、データを記録、整理すると共に、システム上の不具合等を修正するよう努める。
その後、修正を加えたシステムを用いて、さらに学習の場での援用から知見獲得を目指す。
さらに、Cytoscapeを活用したSNSの利用形態等に関する研究(木谷・上林、2016)もあり、これによる協調学習システムにおける利用態様の分析も可能となるが、これらについては今後さらなる調査を実施する。

次年度使用額が生じた理由

今年度は文献調査や先行研究調査を中心とした研究に専念し、システム開発については2年目からとしたため、主にそれらに係る経費を今年度支出しなかった。そして、次年度にシステム開発を行うこととしたため、それに係る費用やその他関連経費を2年目へと繰り越した。

次年度使用額の使用計画

2年目の目標としては、前半にシステム要件定義とシステム開発を行い、同時に実験授業計画を立案すること。そして、後半2年目にシステム試用並びにそこでの実験授業を実施することである。したがって、そこでの開発に必要なハードウェア、ソフトウェアの購入と、開発に必要となる開発協力者への謝金等に係る予算執行を行う考えである。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 「問われるのはデジタルとアナログを鷹揚に協調させるコラボ力」2016

    • 著者名/発表者名
      淺間正通
    • 雑誌名

      『オムニ・マネジメント』日本経営協会

      巻: 6月号 ページ: pp.6-9

  • [雑誌論文] 「自律的協調学修の有効化を目的としたeポートフォリオの活用」2015

    • 著者名/発表者名
      前野博
    • 雑誌名

      『I’NEXUS』CINEX(異文化間情報ネクサス学会)ISSN2189-7786

      巻: No.7 ページ: pp.7-10

    • 査読あり
  • [学会発表] 「自律的協調学修の成因」2015

    • 著者名/発表者名
      前野博
    • 学会等名
      異文化間情報ネクサス学会
    • 発表場所
      順天堂大学お茶の水キャンパス
    • 年月日
      2015-12-19 – 2015-12-19
  • [学会発表] 「英語という言語体系―その冗長性・硬直性・明示性の内側―」2015

    • 著者名/発表者名
      淺間正通
    • 学会等名
      異文化間情報ネクサス学会
    • 発表場所
      順天堂大学お茶の水キャンパス
    • 年月日
      2015-12-19 – 2015-12-19
  • [学会発表] 「今なぜ、就活力として英語力が問われるのか―その顕在的意義と潜在的意義を俯瞰して―」2015

    • 著者名/発表者名
      淺間正通
    • 学会等名
      異文化間情報ネクサス学会
    • 発表場所
      東洋大学朝霞キャンパス
    • 年月日
      2015-09-19 – 2015-09-19
  • [図書] 『デジタル時代のクオリティライフ』2016

    • 著者名/発表者名
      淺間正通(編著)、前野博、中村真二、笹本浩、古西美佐子、伊東田恵、山下巌、酒井太一、長沼淳、小川勤、小林猛久、小泉ゆう子、安冨勇希
    • 総ページ数
      136
    • 出版者
      モルゲン

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公開日: 2017-01-06  

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