研究課題/領域番号 |
15K02737
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
能登原 祥之 同志社大学, 文学部, 教授 (70300613)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 教科書コーパス / 頻度効果 / 擬似時系列分析 |
研究実績の概要 |
2 年目の2016年度では、1 年目に行った中学校英語教科書の調査結果をふまえ、以下3つの仮説を立て、高校の英語教科書における構文の頻度効果を検証する調査を進めた。仮説1. States/SVC (be) が最も高頻度で学習者はその影響を強く受けること。仮説2. 7 種の構文(Location/SV (be)、Possession/SV (have)、Emotion/SVO (like)、Perception & Cognition/SVO (see)、Self-motion/SV (go)、Mental/SVO (think)、Communication/SVO (say))が中頻度で適度に影響を受けること。仮説3. 5 種の構文(Processes/SVC (become)、Transfer/SVO (give)、Caused-motion/SVO (put)、Object-motion/SV (go)、Action/SVO (make))が高学年で見られかつ低頻度であまり影響を受けにくいこと。 調査の結果、仮説1と仮説3で仮説通りであった。特筆すべきは、仮説1に関わる States/SVC (be) 構文で、課による頻度差は激しいものの、総じて総語数と連動する形で頻度が増加し、他の構文と頻度的に乖離していく傾向にあった。仮説3に関わる構文は、高校になってもなかなか出会うことがない構文といえ、意図的に学習する場面を教師がつくる必要があるといえる。最後に、仮説2だが、部分的に修正が必要となった。Location/SV (be)、Possession/SV (have) の構文が中頻度で適度に影響を受ける点は仮説通りであった。しかし、 Emotion/SVO (like)、Perception & Cognition/SVO (see)、Self-motion/SV (go)、Mental/SVO (think)、Communication/SVO (say))は、高校の英語教科書では意外に低頻度で、頻度効果もあまり期待できないことが明らかとなった(2016年 8月 全国英語教育学会第42回大会 にて口頭発表 獨協大学)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高校の英語教科書は、教科書の数やページ数が共に多いため、教科書コーパスを構築し整備する上で労力と時間を必要とした。しかしながら、調査に入ると、1年目の教科書分析の経験を生かすことができ、単なる構文頻度を数えるだけでなく、時系列分析を通して頻度効果を確認するところまでふみ込むことができた。
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今後の研究の推進方策 |
2017年度では、2年間にわたる中学校と高校の英語教科書の頻度効果の調査結果をふまえ、最頻出構文である States/SVC (be) を軸に学習者の中間言語内の構文定着パタンや誤用パタンを類型化していく。
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