研究実績の概要 |
3年目の 2017年度では、2年にわたる中学・高等学校の英語教科書の擬似時系列的頻度効果の調査結果をふまえ、Madlener (2015) の構文ネットワークモデルを参考に、学習者の中間言語内の構文ネットワークの発達状況と特有の誤用例を類型化していった。その結果、以下3点の特徴を整理することができた。(1)高頻度のStates/SVC (be) の構文を主軸とし、Location/SV (be)、Possession/SV (have) を加え3種の構文を頻繁に使う構文ネットワークを持っていると想定される。また、学習者コーパスの誤用例を確認する限り、States/SVC (be) とPossession/SV (have)を融合させる誤用 (e.g., This box is have) は少ないが、構文の軋轢を伴う誤用(e.g., Tokyo is earthquake.)は時に生じる恐れがある。(2)中頻度5種の構文 (Emotion/SVO (like)、Perception & Cognition/SVO (see)、Self-motion/SV (go)、Mental/SVO (think)、Communication/SVO (say))は比較的使えると予想できる。また、学習者コーパスの誤用例を確認する限り、(1)の構文群と(2)の構文群の融合を伴う誤用 (e.g., My mother is like bread or rice.) は学習初期から多く見られる。(3)低頻度5種の構文(Processes/SVC (become)、Transfer/SVO (give)、Caused-motion/SVO (put)、Object-motion/SV (go)、Action/SVO (make)) は、英語教科書を通して触れる機会も少なく、構文の定着状況も芳しくないため、構文の軋轢を伴う誤用は少ないと想定される。(3)の構文群は、(1)や(2)の構文群と融合し誤用となりやすい。
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