研究課題/領域番号 |
15K02746
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
相澤 啓一 筑波大学, 人文社会系, 教授 (80175710)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ドイツ語 / 専門用語集 / 日独翻訳 / 日独通訳 |
研究実績の概要 |
2017年度も前年度に引き続き、日独の多くの通訳者および通訳研修者のご協力をいただき、実際の通訳状況下でさまざまな実例を討論し語彙を収集する集中セミナー(ドイツ)および月例会(筑波大学文京キャンパス)を定期的に開催することができた。毎回のプロトコル作成を通じて、着実に、実践的な通訳ケースにおけるかなりの語彙収集を行うことができた。その都度使用する事例やテキストごとに、政治、外交、金融などさまざまな分野をカバーすることもできた。ただ、こうしてかなりの量がたまってきた語彙リストはいわば原石であるため、その後多くの精査・校正作業を必要としており、その作業は2018年度に引き続き行なってゆく予定としている。また、目指してきたのは分野別専門用語リストであるが、実際には各種の定型的言い回しに関する有用な表現リストの分量が非常に大きいことが認識されつつある。 他方、こうして収集された用語を公開するためのサイト構築については、かなりの時間をかけて検討し、実際にハイデルベルク大学の専門スタッフと協力して構築作業を行った。とはいえそのサイト (http://yogodic.jinsha.tsukuba.ac.jp/yogodic.php)は、残念ながらまだ公開には至っていない。用いている基本ソフトの大幅更新による影響など技術的問題も大きいが、公開に際して、本プロジェクトが想定する分野別用語集のタグ付作業に個別・膨大な労力がかかることが大きな理由である。本プロジェクトの以上2つの作業が理想的に完結するにはまだ検討すべき課題が多いことが分かったため、今後は分野毎の検索機能を詳細に使用できるという技術的な達成目標とはひとまず切り離し、成果の公開作業を優先する形の作業を考えている。そこでは、すでに集積されているデータを、大まかな分野別用語集として別サイトですみやかに公開・提供していくこととしたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本プロジェクトは2つの柱から成り立っている。一方の用語収集作業は定期的会合を通じてほぼ順調に進んでおり、精査・校正作業を通じて公開用のレベルに達したコンテンツを多数蓄積するに至っている。内容的には、当初より目指している分野別専門用語だけでなく、日常的な言い回しに関するさまざまな対応表現の文例が数多く収集されるようになっている現状があり、これは当初予期しなかった展開ではある。とはいえ、これは必ずしもネガティヴな「遅れ」とは位置づけていない。今後の公開作業に向けてより幅の広いカテゴリーを考えてゆくべき課題として考えており、より豊かな成果になる展開として活かしていきたいと考えている。 しかし他方で、用語を公開するためのサイト構築については、ハイデルベルク大学の専門スタッフとともに多くの作業を進めており、実際多くの問題を解決してきたにもかかわらず、まだ多くの技術的課題が残っており、このサイトを使用したリスト公開には至っていない。新たなサイトを構築するのに必要な労働量は想定外の膨大さであった。公開作業が開始できない限り、成果が「見える化」できないため、この点で残念ながら、本プロジェクトは当初目標よりもやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
用語収集作業については比較的順調に進んできているので、引き続き今後もこれまで通り着実に進めていきたい。ただ、これまで収集した用語集はまだそのままでは必ずしも公開できるほど精度が高いとはいえず、表現などの統一を図る必要もあり、また分野別のタグ入れないし分野別ソーティング作業が必要となるため、公開するのに先立ち、これまでの月例会とは別に、これらの加工作業が必要となる。そうしたデータ加工作業を、平成30年度は追加的・集中的に計画に組み込んでゆきたい。また、必ずしも分野別専門用語とは言えない数多くの言い回しなどの扱いについても、対応や分類法を考えていきたい。 公開用サイト構築作業については、まだ検討すべき課題が多いことが分かった。むろん今後もハイデルベルク大学との共同作業は継続してサイト構築を目指す予定であるが、この作業の遅れに全体が引きずられることは好ましくない、というのが2017年度の教訓であった。そこで、今後は分野毎の検索機能を詳細に使用できるという最終目標はひとまず切り離した形で、これまで収集した成果を何らかの形で公開する作業を優先して進めていきたいと考えている。そこでは、すでに集積されているデータを、大まかな分野別用語集として別サイトですみやかに公開・提供していくこととなる。
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次年度使用額が生じた理由 |
2017年度単年度としてはほぼ計画通りの支出であったが、2016年度に遅れた作業分がまだ追いついていない形となっている。そのため、2016年度からの繰越額とほぼ同じ規模の金額が翌年度に繰り越されることとなった。平成30年度への繰り越し分については、とりわけ用語リストアップロードにかかる作業への支出に必要な人件費を中心に使用する予定としている。
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