研究実績の概要 |
本研究は、日本人英語学習者の話し言葉と書き言葉の大規模コーパスを構築し、近年注目されている第二言語習得理論の一つである処理可能性理論(Processability Theory, Pienema nn, 1998, 2005; Bettoni & Di Biase, 2015)が予測している第二言語習得における普遍的発達段階および英語教育現場において広く取り入れられているヨーロッパ;言語共通参照枠(Common European Framework of Reference for Languages, CEFR, Council of Europe, 2001)を用いて、文法と語彙の分析を行うことによって、日本人大学生の「話す力」と「書く力」 を多角的に解明することを目的とする。英語学習歴に関するアンケート調査、英語圏在住の日本人留学生や同世代の英語ネイティブスピーカーの話し言葉と書き言葉のデータ収集も同時に行い、海外経験の有無が日本人英語学習者の文法や語彙の使用にどのような影響を及ぼしているか、英語圏在住の日本人留学生や英語ネイティブスピーカーとの違い、などについての分析も試みた。2017年度は、前年度に行なった英語形態素使用についての分析をまとめた論文執筆および専門ジャーナルへの投稿を行いつつ、新たに英語統語使用についての分析も行い、処理可能性理論に基づく統語発達段階とCEFRレベルを用いた語彙使用の関連性についての分析結果については、2つの国際学会において研究発表を行った。また、研究代表者は、国立国語研究所が主催する「学習者コーパス・ワークショップ」における招待講演者として、学習者コーパスによる第二言語習得理論の検証をテーマとして、本研究によって得られた研究成果を紹介しながら講演を行った。
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