研究課題/領域番号 |
15K02767
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研究機関 | 相模女子大学 |
研究代表者 |
羽井佐 昭彦 相模女子大学, 学芸学部, 教授 (30285655)
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研究分担者 |
渡辺 幸倫 相模女子大学, 学芸学部, 教授 (60449113)
花元 宏城 東京電機大学, 理工学部, 講師 (60625797)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 共通語としての英語 / World Englishes / 授業談話分析 / 言語態度 / フィリピン英語留学 |
研究実績の概要 |
平成27年度は本科研の初年度であり、フィリピン英語留学における教室内談話の特徴と共通語としての英語使用体験が学習者の言語態度に及ぼす影響を明らかにする研究の準備段階として活動を進めた。研究実績の概要は以下の通りである。 4月から6月にかけて、研究代表者・分担者間で打合せを持ち、研究計画と役割分担の確認及び先行研究による情報収集と当該年度の調査項目の確定を行った。具体的には先行研究で集めたフィリピン留学参加者へのインタビュー及び授業データの再分析を試み、その結果をもとに当該年度のフィリピン留学参加者へのインタビュー項目を確定した。 平成27年夏のフィリピン英語留学に参加する留学生6名に対し、フィリピン留学やフィリピン英語等についての意識調査をするために、7月21日~28日にかけてアンケート調査及び留学前インタビューを実施した。8月10日~13日にかけて研究者がフィリピンのネグロス島にある留学先の語学学校に赴き、同留学生に対し留学中インタビューを行った。帰国後の意識の変化を調べるため11月~12月にかけて同留学生に対しての最終インタビューを試みた。 さらに教室内談話の特徴を調査するため、語学学校の協力のもと、同留学生6名に対しマンツーマンで行われる英語授業のビデオ撮りを依頼した。ビデオ撮りは留学中の前半と後半の2回に分けて録画・録音を行ってもらった。 帰国後に留学生から録画及び録音データを受け取り、授業談話分析のための基礎資料となる談話データの転記を行った。さらに2015年12月から2016年2月にかけて、参加者の言語態度調査のためのインタビューデータの転記を行い、次年度での分析に備えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前述のように、平成27年度は留学前・中・後のインタビュー調査、フィリピン留学中の教室内授業録画を実施し、データ収集後にはインタビューと授業録画の転記作業を完了し、本科研費の研究計画通りに進んでいる。初年度はパイロット調査としての位置づけで開始したデータ収集ではあったが、かなりしっかりしたデータが集まったので平成28年度の本調査の大きな土台になるものとなった。しかし、研究計画にあった先行研究の収集と整理についてはまだ十分な段階には達しておらず、平成28年度の課題としたい。
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今後の研究の推進方策 |
前述した通り、先行研究の収集・整理に関してやや遅れている状況であるため、平成28年度も引き続き、授業やインタビュー分析、参与観察の研究手法など本研究に関する文献調査を継続する。 平成27年度に収集したデータ分析を行い、本研究の途中経過として学会等で発表する。またそのデータ分析結果をもとに、平成28年度の本調査実施にむけての研究デザインを策定する。前年度同様にフィリピン英語留学生を対象に留学前・中・後のインタビューと授業内インタラクション分析のための授業録画も実施し、データ収集後に転記作業を行う。 データ収集後は転記作業と並行して、できる限り分析を行い、平成28年度の研究成果としてまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度の研究計画が主に、先行研究の整理、現地調査、パイロット調査の実施であったが、パイロット調査はフィリピン、ネグロス島内の1つの語学学校でできたため、研究代表者1名の出張で事足りた。一方、前述したように、先行研究の収集と整理に基づいたインタビュー調査・参与観察等の研究手法の検討がまだ不十分であったため、より効果的な現地調査と参与観察のためには、平成27年度の研究協力者2名の出張を見送り、その出張旅費を次年度に使用するほうが適切と判断した。また出張旅費を温存することによって、平成28年度は内容の濃い現地調査に加え、初年度のパイロット調査の結果を学会等で発表するための費用に充てることも視野に入れた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度の直接経費は当該年度請求額と前年度未使用額を合わせた費用を本研究に充てることができる見込みである。平成27年度の未使用分は主に旅費であり、平成28年度は、フィリピンの語学学校での本調査、学習者の立場に立った参与観察といったデータ収集のための出張旅費に加え、パイロット調査結果の国際大会での発表のための旅費に充当する予定である。
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