研究課題/領域番号 |
15K02768
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研究機関 | 京都女子大学 |
研究代表者 |
石川 圭一 京都女子大学, 文学部, 教授 (40259445)
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研究期間 (年度) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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キーワード | implicit learning / explicit learning / generalization / consolidation / grammaticality judgment / reaction time / measures of awareness / derivational suffixes |
研究実績の概要 |
新しい語はどのように学べば、より定着するだろうか。本研究は、英語の接尾辞を持つ新語(例 fimisity)の形態統語知識に関して、潜在的に学んだ(implicit learning)学習者、明示的に学んだ(explicit learning) 学習者、学習を経ない統制群の3群が、学習直後と統合 (consolidation) 後(1週間後)に、文法性判断テスト(正答率と反応時間を測定)受け、新語の般化程度を調べる。本研究により、どのような学習をした際に(implicit or explicit)、文法性判断のどの側面に(正答率か反応時間か)、いつ(直後、1週間後)、新語の学習効果、及び、般化程度が高いかを明らかにしようとするものである。 新語の記憶において、どのような学習法が記憶のどの側面に影響するのかについては、あまり研究は進んでいない。ただし、学習法については、潜在的学習 (implicit learning)と明示的学習 (explicit learning)の効果の研究が特に欧米言語話者を対象に進んでいる。implicit learningは、文法規則、形態知識、手続き的スキル等を学べることが分かってきているが、consolidationとの関係や、課題のどの側面(どのような測定法)に効果が現れるか等の問題はほとんど扱われていない。 そこで本研究は、今までほとんど対象として扱われていない日本人英語学習者を対象にして、文に埋め込んだ新語(本研究では 12種類の英語の接尾辞を新しい語幹に付けたもの;例: wobisic)を、implicitと explicitで学ばせ、学習直後、睡眠を経た翌日、1週間後の3つの異なる時点で、文法性判断テストにおける正答率と反応時間を指標に、新語の般化能力を測定しようとしている。これによって、日本人英語学習者の新語獲得における、学習法とconsolidationの効果と役割について検討したい。平成27年度の実施内容は以下のとおりである。 (1) 実験材料の選定・作成 (2) 刺激提示ソフトのプログラミング・調整
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本科研費の採択の連絡を受けたのが平成27年度10月であったので、平成27年度は実験の準備(刺激の作成や刺激提示ソフトの調整等)で終了した。さらに途中、刺激の不適切性等が判明し、その修正や、ソフトの不具合の修正等でも時間がかかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、手続きの揃った実験のパイロットスタディを実施し、本実験を開始する。平成28年度は、まずは6人程度の参加者を募り、パイロットスタディを実施する。そこで、参加者からのフィードバック、ソフトの動き具合、刺激の数、提示順序などを調整・修正する可能性がある。その後、本実験では、中級日本人英語学習者を3群(それぞれ20名程度)を募集し、本実験を実施する。実験は、まず学習段階において、ある規則が隠された新語を含む英語の文を大量に聞く群(Implicit learning group)、新語の規則について明示的に教わる群(Explicit learning group)、統制群(Control group)に分け、その後テスト段階で文法性判断課題を受け、正答率と反応時間を測定する。 平成29年度は、テスト段階で得た正答率と反応時間に統計処理を施し、結果を以下の観点から比較・考察し、新語の汎化における包括的なモデルを提案する。 1) 学習方法の種類と効果を、学習を持たない場合と比較。2) 学習効果を測定する2つの指標(正答率と反応時間)の測定実施時期(直後と1週間後)の違いによる統合(consolidation)の効果の検討。3) 1), 2)の結果をもとに、3つの要因(学習法、測定指標、測定時期)の交互作用を詳細に検討する。最後に、本研究の全体的考察を行い、研究成果をまとめ、国内外での発表・レビュー、論文の執筆・投稿を行う
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次年度使用額が生じた理由 |
本科研費の採択の連絡を受けたのが平成27年度10月であったので、平成27年度は実験の準備(刺激の作成や刺激提示ソフトの調整等)で終了した。そのため、予定していたパイロットスタディ等、実験の実施ができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度は、手続きの揃った実験のパイロットスタディを実施し、本実験を開始する。
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