新しい語彙・文法はどのように学べば、より定着するだろうか。本研究は、英語の接尾辞を持つ新語(例 bodisness)の形態統語知識に関して、偶発的に学んだ(incidental learning)学習者、明示的に学んだ(explicit learning) 学習者、学習を経ない統制群の3群が、学習直後と1週間後に、文法性判断テスト(正答率と反応時間を測定)受け、形態統語知識の般化程度を調べる。1つ1つの文法性判断課題の直後には、2種類の subjective measures of awareness (confidence ratings & source attributions) を施し判断の自信と根拠について尋ね、さらに1週間後の実験終了後のアンケートとインタビューにより、どのような知識を獲得したかについて考察した。 本研究は、日本人英語学習者(中級程度の英語力)を参加者に、派生形態素という文法項目を学習対象項目として、これらを文に埋め込んだ新語(本研究では 12種類の英語の接尾辞を新しい語幹に付けたもの;例: fimisik)を、incidental と explicitで学ばせ、学習直後、1週間後の2つの異なる時点で、文法性判断テストにおける正答率と反応時間を指標に、形態統語知識の学習と般化能力を測定した。日本人英語学習者の新しい語彙・文法獲得における、学習法と時間経過の効果と役割について検討した。平成27年度の実験材料の選定・作成、刺激提示ソフトのプログラミング・調整、平成28年度の実験開始に引き続き、平成29年度は、本実験を終了した(3群のそれぞれに、20人ずつ、計60人に対し、実験を実施)。平成30年度は、データの分析・考察を終え、学術雑誌に投稿し、現在その改訂版が査読中である。
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