本研究の目的は、(i)すでに現在どのような文字導入・文字指導が行われており、それがどの程度の成果を挙げているか、ということを明らかにし、(ii) 小学校高学年という発達段階と、音声中心である外国語活動の成果を踏まえ、かつ教科化に対応した文字指導を明らかにすることである。その際、ICTの活用についても視野に入れる。 実際に授業参観やアンケートなどを行い、小学校の現場ではすでにどのような文字指導が行われているか、ということを調査し、それを分類した。また、語彙調査の一環として、児童に対してもどのような文字知識を有しているかを調べ、分析した。以上のような調査・研究の結果、以下が明らかとなった。 (i)実際に現在どのような文字導入·文字指導が行われているか、ということが明らかとなり、現行の文字指導の大部分が、文字の読み方の規則を指導することであることがわかった。(ⅱ)児童の文字習得には何らかの「型」が個々人で存在する可能性があり、したがってそれに合わせた指導を考える必要があることが明らかとなった。(ⅲ)ICTを活用した文字学習アプリケーションを開発した。(iv)開発したアプリケーションを実際に現場で使用してもらうことで、文字指導におけるICT活用の有効性の一端が明らかとなった。(v)明示的に文字を「指導」しなくとも、活動の中に文字を利用した「文字活動」を組み込むことによって、児童は自然に文字に慣れ親しむことができることがわかった。(vi)文字をある程度学んだ児童に対しては、「文字を用いて」文構造の指導や語順意識を高める指導をすることが可能であることがわかった。
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