研究課題/領域番号 |
15K02780
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
石塚 博規 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (50364279)
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研究分担者 |
櫻井 靖子 旭川工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (50587384)
中村 香恵子 北海道科学大学, 工学部, 准教授 (40347753)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | COLT Part A / リアルタイムの授業分析 / 簡易な英語授業分析 / 客観的な授業研究の視点 |
研究実績の概要 |
本研究は授業観察法であるCOLT(Communicative Orientation of Language Learning)を,日本の英語授業の実情に合わせて改良・簡略化を行い,その改良版である携帯可能なCOLT分析システム(Mobile COLT)を用い,小・中高等学校の授業で実用しながら英語の授業改善を図るとともに,当該授業分析・集計システムの有用性を検証することを目的とししている。平成28年度においては,平成27年度に構想した改良版COLTを,タブレットPCで利用するためのアプリケーションの設計・開発を行い,開発したタブレットPC用授業分析・集計システムをさまざまな教室での英語授業で使用し,その有用性を検証しながら高性能化することを目的とした。 当初の研究計画に従い,9月までに開発計画を終えタブレットPCにMobile COLTをインストールし試用を開始した。10月中旬まで微調整を行い,10月末から11月にかけて小中高校の授業で1回ずつ授業を観察観察し,授業直後にその分析結果を授業者に視覚的に示しながら授業改善の指針を伝えた。1月末から2月上旬にかけては,同じクラスの授業を再度観察し,同様の授業研究を行った。ビデオカメラと接続しながら録画する方法がケーブル接続の点で煩瑣である理由で,タブレットの映像録画機能を利用する方法に変更するなどし,より簡素に授業を観察・分析できるシステムとなった。 小中校同じクラスの2回の分析により,それぞれの学校種で本システムが利用可能であることが判明するとともに,授業者がどのように授業を改善しようとしたかが,COLT分析のどのデータに反映されているかも授業終了直後に振り返ることが可能となり,リフレクション・アプローチがMobile COLTを利用することで高い効果を産む可能性があることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度4月から9月においては,平成27年度の授業分析で明らかになったCOLT Part Aの問題点を解決するための改良版COLTを設計しタブレットPC用の授業分析・集計システムを開発すること,学会・研究会などへ参加し関連情報を収集することが当初の研究計画であったが,計画通りにシステムの開発を終え,タブレットPCにインストールを行うとともに,全国北海道英語教育学会授業研究フォーラム(札幌),全国英語教育学会(埼玉),小学校英語教育学会(仙台)などに参加し英語教育に資する情報収集を行った。10月~3月においては,開発したアプリケーションを用いて小学校・中高等学校で3~5程度の授業を教室においてリアルタイムで分析し,授業者とのディスカッションを行いながらその有用性と課題を洗い出し,さらに改良を行うとともに,授業改善の提案を行うことが当初の研究計画であったが,概要で記載した通り,計6の授業を観察・分析し,Mobile COLTで提示されるデータを用いて授業者と授業研究を進めながらシステムの有用性を検証した。 また,完成したシステムを広く周知することを目的に国際学会において2度発表を行った。いずれも聴衆からは高い評価をいただいた。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は,Mobile COLTを用いて,小・中・高等学校で同じ授業者による授業を長期研究の手法で数回分析しながら授業改善を行い,その成果をまとめるとともに,システムの有用性の検証を続ける。また,これらの授業者の授業を受けた児童・生徒の意識が授業が改善されるに伴いどのように変化するのかも同時に探っていく。この児童・生徒の意識の変化と授業改善の関係性についての検証は当初の計画にはなかったものだが,本研究課題により深くアプローチするために有用であると考えられる。 本研究成果の発表と広報についても,計画よりもさらに進め,5月に展示会での広報,8月に国内学会での発表,10月に国際学会での研究発表を計画している。また,3年間にわたる本研究の成果をまとめ,論文投稿を次年度に行う準備を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度においては開発したMobile COLT用のタブレットPCを購入する予定であったが,研究が順調に進んだため,国内外での発表が多くなり,そのため当初予定していた動画録画に耐えうるハイスペックのPCを購入することができなかった。新年度早々に新年度予算と合わせて購入し研究に使用する予定である。また,研究分担者が多忙のため出張旅費を使用できなかったことも理由の一つである。
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次年度使用額の使用計画 |
上記の通り,平成29年度早々にハイスペックのタブレットPCを購入依頼し,開発したシステムをインストールするとともに,システムの微調整にかかる予算に充て,研究を効率よく進めるために使用する予定である。研究分担者とともに全国大会で発表を予定しおり,研究成果の広報をして有効に使用する予定である。
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