研究課題/領域番号 |
15K02782
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研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
松浦 浩子 福島大学, 経済経営学類, 教授 (70199751)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 国際共通語としての英語 / 理解度 / 訛り / 受容態度 / TEDトーク |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、世界の多様な音声英語に対する学習者のコンプリヘンシビリティ(理解度)向上をめざして、効果的教材開発につながる基礎研究及び応用研究を行うことである。 28年度は、前年度に構築したMoodle基盤の学習プラットフォーム(WEnglishes)を利用して実験を行った。プラットフォーム上には、アメリカ英語、イギリス英語、シンガポール英語、インド英語によるTEDトーク、その内容に関して学習者が意見を投稿するForum、各英語変種の歴史的背景及び言語学的特徴について記した読み物が配置してある。28年度は、一般的英語学習者に馴染みのないシンガポール英語を用いて、その歴史的背景や言語学的特徴に関する教授が、音声サンプルの理解度及び受容態度にどのような変容をもたらすのかを解明することを目標とした。具体的方法は次の通りである。日本の大学に在籍する英語学習者を3群(実験群1、実験群2、統制群)に分けた。(1)実験群1は、シンガポール英語の歴史的背景及び音声学的特徴について説明を受けたのちに、シンガポール英語話者によるTEDトークを視聴、(2)実験群2は、歴史的背景(音声学的特徴の解説はなし)について説明を受けたのちに、シンガポール英語のTEDトークを視聴、(3)統制群は、シンガポール英語に関する解説を一切受けないで、彼らに馴染みのあるアメリカ英語のTEDトークを視聴した。3群とも、TED視聴直後にトーク内容に関する多肢選択問題、ディクテーション、Forumへの英文投稿等のタスクを行った。この実験授業の前後には、シンガポール英語で吹き込まれた英文を3群の被験者に呈示、ディクテーションによってその理解度を、またSD法及び自由記述式アンケートによって受容態度を調査した。分析結果については国際会議ELF10で発表予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
28年度は、前年度に構築した学習プラットフォームWEnglishesを利用して、被験者3群(明示的教授を受ける実験群1、暗示的教授を受ける実験群2、統制群)に実験授業を行い、アンケート調査やディクテーションテストによりデータを収集、英語に対する理解度と英語変種への態度の変容を分析することを目標とした。しかし、諸事情により実験群1に対する授業時間が不足したため、十分な数の被験者データが得られなかった。
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今後の研究の推進方策 |
29年度当初に追加的実験授業を行い、不足しているデータを補ったのち成果をまとめ、フィンランドのヘルシンキで開催される国際会議ELF10でその一部を発表する。また、年度後半には調査内容及び手順に修正を加え、WEnglishesを利用した新たな実験研究を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
29年度の実験授業に使用する学習プラットフォームWEnglishesの修正費用、レンタルサーバ使用料、学生登録料、保守点検費用の支払いが29年4月以降になったため。また、28年度末に予定していた国際学会発表プロポーザルが採択されなかったため、海外旅費が必要なくなった。
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次年度使用額の使用計画 |
29年4月以降に、WEnglishes経費を支出する。また、同年6月にヘルシンキで開催される国際会議ELF10で研究成果の一部を発表予定であり、そのための旅費を支出する。
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