研究課題/領域番号 |
15K02783
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研究機関 | 上越教育大学 |
研究代表者 |
平野 絹枝 上越教育大学, その他部局等, 特命研究員 (30123219)
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研究分担者 |
石濱 博之 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (00223016)
ブラウン アイヴァン 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (80436774)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 語彙学習方略 / 外国語活動 / 小学校英語教育 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、【課題1:小学生の英単語認知のメカニズムの解明】で、日本人小学生が英単語を学習する際に使用している語彙学習方略に対する認識と学年と英語力の関係を明らかにするために、堀田・平野(2013)を再検討した調査用紙を使用して外国語活動の授業を毎週1回受けた4,5,6年生の児童に対して、調査を実施した。平成28年度では、そのデータを分析し、その結果を全国英語教育学会で発表した。次に、全国誌にこの論文を投稿した。調査の主な結果は次のとおりである。(1)公立小学校4年生、5年生、6年生(327名)において、「類似性着目」「イメージ化・グルーピング」「アルファベット着目」「興味・嗜好優先」「反復・練習」の5因子が抽出された。さらに語彙学習方略と学年、英語力との関係については、(1)5因子すべてにおいて学年×学力の交互作用は有意でなかった、(2)学力に関係なく、学年の影響があったのは、「類似性着目」のみであった(5年生>6年生)、(3)学年に関係なく、学力の影響があったのは、「イメージ化・グルーピング」と「反復・練習」においてのみで(上位群>下位群),(4)4年生では「イメージ化・グルーピング」方略使用の認識が、また、各学年においては、「反復練習」方略の認識が英語力向上に寄与する可能性があるだろうということが判明した。学年に応じた方略指導法に配慮する必要があろう。【課題2:単語理解の指導法の開発・提案】では、課題1のデータ分析検証の結果にもとずいて文献収集を行ないながら単語理解の方略指導法を検討した。【課題3:教科化のための4技能を統合した語彙指導法の開発】では、課題1との結果と関連しながら語彙指導法の開発のために、小学校児童向けの、理解と発表に関する文献収集を行っている段階である。発表を中心にした語彙指導法に向けた単語テストの作成と予備調査に至っていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の「課題1」は、4,5,6年生に、アンケート調査の分析・検証の成果に基づいて、学会発表及び論文化を行い全国的な学会誌への投稿を終えたので順調に進んでいる。ただし、課題1のアンケート項目の再度の吟味及び調査実施、データ分析・検証に予想した以上に時間を要したため、【課題2:単語理解の指導法の開発・提案】を継続して行う。また【課題3:教科化のための4技能を統合した語彙指導法の開発】に関してやや進捗状況が遅れている理由は、次のとおりである。指導法を開発することに関して、事例でもよいから、その指導法を試みる場所を探したが(例えば、分担者の所属機関の附属小学校で実施しようとしたが)、既に他の研究者と小学校英語教育に関する実践研究をしているために実施できなかったことと、分担者の所属機関のある徳島県の公立小学校では、調査可能な小学校を適切に見つけることができなかったからである。しかし、以前勤務していた大学の地域の小学校で小規模で何とか実施できる可能性を、平成28年度終了時に見いだしたので、その小学校で可能なサイズの指導法の開発を進めて、平成29年度に実施する方向である。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度では、(1)課題2:単語理解の指導法の開発・提案】においては、課題1のデータ分析検証の結果に基づいて、引き続き文献収集を行ないながら、単語理解の方略指導法の開発・提案を行う。(2)【課題3:教科化のための4技能を統合した語彙指導法の開発】においては、単語リストの作成、発表を中心にした語彙指導法に向けた単語テストの作成と調査を行う。理解と発表を統合した、即ち4技能を統合した単語指導法を開発し、提案する。最終的なまとめと研究全体の総括を行う。学会での成果発表を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度に、「四技能を統合化した語彙指導法を開発すること」を実施しようとしていたが、本校勤務の状態でやや遅れている。その語彙指導法の開発による、その教材等に使用して、謝金でまかなっていく手順になっていた。また、指導法開発のための基本図書を購入することを予定していた。研究代表者、分担者等の研究うち合わせ会議を実施する旅費が残されている。
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次年度使用額の使用計画 |
四技能を統合化した語彙指導法を開発するために教材費、指導開発のための基本図書購入費、学会参加の旅費、研究代表者、分担者の打ち合わせ会議の旅費、データ分析・表や図などの資料作成の補助のための謝金等にあてる。
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備考 |
石浜博之.(2017).「小学校英語「ごっこ遊び」指導案集」『鳴門教育大学報告書』全151頁. (査読無)
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