研究課題/領域番号 |
15K02784
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
滝沢 雄一 金沢大学, 学校教育系, 准教授 (00332049)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 英語教育 / 教員養成 / 言語教師認知 / 文法指導 |
研究実績の概要 |
本研究は、近年発展しつつある第二言語教師教育研究における教師認知研究の動向を踏まえ、(1)英語科教員養成段階にある学生は、文法指導に関してどのような信念に基づいて授業計画を作成するのか、また、(2)その信念の形成に過去の学習者としての経験、教育実習、講義経験はどのような影響を与えているか、さらに、(3)講義や教育実習を通じて文法指導に関する信念がどのように変容するかを、質的研究方法により明らかにすることを目的とする。
平成29年度においては、27、28年度に、(1)前期に英語科教育関連科目の第1、2回授業において、具体的に中学校の検定教科書の新出文法を含む頁を提示して作成させた授業計画、文法指導に関するどのような信念に基づいて作成したかを回答させた質問紙、その結果および作成した授業計画を手がかりにしながら行ったインタビュー、(2)教育実習中の授業の観察、その後の質問紙への回答、インタビュー、(3)実習終了後、講義の最終回において作成した授業計画、質問紙への回答、インタビュー、(4)毎講義の終了時に記入した振り返りシート、の分析が主な実績である。具体的には質問紙の分析、主としてインタビュー、振り返りシートにより収集されたデータの、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)による分析である。分析作業を通じて、現段階で(1)学習者経験の影響が前期および教育実習期間に強く見られる、(2)具体的なイメージが伴わない知識や信条については、必ずしも一致しない実践が行われる、(3)継続的に維持される信条(指導観)が見られる一方で、後期の講義内容による教育実習経験の省察を通して変容が見られる、などの傾向が見られるが、まだ分析が十分とはいえないため、さらなる分析・考察を行い、様々な要因の相互の関係を整理した上で、理論化を試みる必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
29年度においては27、28年度に収集したデータを総合し詳細な分析を行い、その結果から、学習者の経験、教育実習、講義等の影響について、それぞれの特徴および相互の関係を整理し、理論(モデル)化を試みる予定であったが、データから得られた結果が予想以上に多岐にわたり、複雑であり十分な分析・考察が行えておらず、成果のまとめに至っていない。計画を変更し、研究期間を延長し継続してより詳細な分析を行うこととした。
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今後の研究の推進方策 |
30年度においては27、28年度に収集したデータについて29年度からの分析を継続し、より詳細な分析・検討を行い、その結果から、学習者の経験、教育実習、講義等の影響について、それぞれの特徴および相互の関係を整理し、理論(モデル)化を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
29年度においては、成果のまとめに至らなかったこともあり、旅費等成果発表に関わる経費、および謝金について必要額が当初の計画より下回ったため、残額があった。これら残額については、30年度のより詳細な分析の実施、および、そのために必要となる学会等における資料収集、成果の発表、論文執筆等のための経費に充てる予定である。
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