研究課題/領域番号 |
15K02785
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
酒井 英樹 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (00334699)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | パフォーマンス評価 / スピーキング / ライティング |
研究実績の概要 |
平成29年度の主な計画は、中学生と高校生を対象にした実証研究を計画・実施し、その結果を考察することであった。主な成果は、レベルの異なる複数のタスクを用いて、CEFRの考え方に基づくタスク評価を行える可能性があることを示唆したことである。 (1) 前年度までに作成した話すことのタスク利用の言語評価のタスクと評価基準の作成に基づき、平成29年度は中学生1年生から3年生(1,301名)と高校生1年生から3年生(362名)のパフォーマンスを評価した。そのうち、中学3年生202名のデータを用いて、CEFR に基づく評価、自己評価、外部指標との関係を分析し、妥当性を検討した。その結果、含意尺度分析により、レベルの異なる4つのタスクの評価に階層性が確認でき、CEFRに基づく評価方法の構造的妥当性は確認できた。一方で、自己評価や外部指標との相関分析により、外的妥当性は低いことが示された。本研究のタスクが、モノローグとダイアローグを区別しているのに対して、自己評価や外部指標のテストでは区別されてないことから、タスクの内容の違いが影響を及ぼした可能性を指摘した。 (2) ライティングにおけるタスクと評価基準を作成し、大学生80名を対象に、評価方法の妥当性を検討した。その際、ラッシュ分析を実施した。その結果、含意尺度係数の観点から階層性が確認された。また,本研究の評価方法によるレベル判定とCAN-DO リスト形式の自己評価との相関係数は統計的に有意に低いことが確認された。さらに,本研究の評価方法による判定とラッシュ分析による実際のパフォーマンスの能力推定値の相関は比較的高いことが確認された。同様に,自己評価とラッシュ分析による自己評価の能力推定値の相関も比較的高いことが示された。さらに,ラッシュ分析による実際のパフォーマンスと自己評価の能力推定値の間に中程度の相関があることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度の計画について、前年度の研究成果の発表と、実証研究の実施を終えている。一方で、中学生を対象にして、単元を実施し、評価に関する複数のデータを得て分析を行う実証研究は、データ収集は終了したが、データ分析は中途であり、平成30年度においても継続的に行う予定である。そのため、おおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度に、中学生を対象にして、単元を実施し、評価に関する複数のデータ(自己評価、CEFRの考え方に基づく評価、ダイナミック・アセスメントに基づく評価など)を収集した。この分析を平成30年度においても継続して実施する。また、当初の計画では、高等学校において、ある単元を実施し、評価に関する複数のデータを収集し、分析する予定であったが、平成30年度は、本研究の最終年度であるため、高等学校における実証研究を実施せず、中学校での実証研究を行うことにより、平成29年度の成果と合わせて、一般化を図ることを計画する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、平成29年度に終了する予定であった中学校における実証研究の分析が終了していないためである。平成30年度に継続して実施する分析及び研究成果の発表に使用する計画である。
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