研究課題/領域番号 |
15K02787
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
柳瀬 陽介 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (70239820)
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研究分担者 |
吉田 達弘 兵庫教育大学, 学校教育研究科(研究院), 教授 (10240293)
玉井 健 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (20259641)
長嶺 寿宣 熊本大学, 教育学部, 准教授 (20390544)
樫葉 みつ子 広島大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (20582232)
田尻 悟郎 関西大学, 外国語学部, 教授 (30454599)
横溝 紳一郎 西南女学院大学, 人文学部, 教授 (60220563)
山本 玲子 大阪国際大学, グローバル・ビジネス学部, 准教授 (60637031)
今井 裕之 関西大学, 外国語学部, 教授 (80247759)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 教師教育 / 言語教育 / 情動 / 感情 / 意識 / 身体 |
研究実績の概要 |
本研究は、教師教育者・メンターの成長を、熟達者と新人に分け、かつ成長にとって重要な情感性と身体性に特に着目して記述・分析する研究であり、理論班と熟達者対象班と新人対象班の三つの班による研究体制をもっている。平成27年度は、研究開始の年として、理論班と術達者対象班は研究体制の確立および調査開始、新人対象班はまずは調査協力者との信頼関係醸成を達成目標とした。 理論班は理論会議を7月に行って以降、情感性と身体性に関する理論的基盤を構築してきた。特に目覚ましい進展として、情感性と身体性のインターフェイスともいえる意識に着目し、神経科学の意識の統合情報理論(Integrated Information Theory)を言語教育研究に活かせるように理論的理解を深めた。その成果は、2016年3月12日に武蔵野美術大学で開催された言語文化教育研究学会で「統合情報理論からの意味論構築の試み ―ことばと言語教育に関する基礎的考察」として口頭発表した。またその学会発表に至るまでの準備資料(統合情報理論の翻訳など)は研究代表者のブログの8本の記事として一般公開されている。 熟達者対象班は、6月と12月に二回の観察・インタビューを実施し、基礎的データを獲得した。現在、そのデータを2016年6月の学会発表へ向けて分析中である。 新人対象班は、困難と思われた調査協力者との信頼関係醸成に成功し、1名の教師教育者からのデータ収集を継続している。 平成27年度は、特に研究実績を論文化することは目標として掲げていなかったが、理論班においては学会発表、熟達者対象班においてはある程度のデータ収集ができたので、平成28年度の中間統括に向けての準備はそれなりにできていると言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既に、理論班では基礎理論としての統合情報理論に関する学会発表を終え、さらにもう一つの基礎理論としての情感性と身体性を強調した対話理論(SeikkulaらによるOpen Dialogueのアプローチ、Bohmによるdialogue論)の理解も計8本のブログ記事で公表済みである。また、熟達者対象班では学会発表が予定されており、新人対象班ではデータ収集が継続中である。こういった状況を受けて「おおむね順調に進展している」と自己評価した。ただこれら三つの班の研究の統合化については今後の努力が必要であると認識している。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り、平成28年は中間統括の年として、研究をある程度の形にしつつ、データの収集と分析を継続してゆく。理論班については、統合情報理論の学会発表の論文投稿、情感性と身体性についての認識論的考察の学会発表を今年度中に予定している。熟達者対象班については、平成27年度の観察・インタビューに基づく学会発表を今年度中に予定している。新人対象班も、予定通り実践観察と聞き取り調査を継続してゆく。 なお当初の予定にはなかったことだが、研究代表者は某地方公共団体の教育センターから平成28年度の教員研修の顧問役としてさまざまな教科の10名の中学校教師と関わることになった。ここにおいては、それら教師ともその教育センターの教師教育者(指導主事)とも共に教師教育に関わる営みに参画することができるので、この経験が本科研に相乗効果をもたらすことも期待できる。
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次年度使用額が生じた理由 |
複数の研究メンバーの健康上の理由で予算執行が予定通りには進まなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
これから動画(実践観察・インタビューの記録)の分析が増えるので、動画を処理できるだけの十分な容量をもったPCなどの機器購入を考えている。 また、現在平成29年度に開催される国際学会への発表申し込みをしているが、その申し込みが受理されたなら、学会発表の権利獲得のために必要な登録料(学会参加費の前払い)に向けて使用する。
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備考 |
以上3つの記事から、合計13本の記事へのリンクがはられているので、総計16本の記事を研究成果の一部として公開していることになる。
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