研究対象のテスト (TOEFL Junior Comprehensive; TOEFL JC)が昨年末に運用を停止してしまい、最終年度に予定していたデータ収集ができなくなってしまったため、集まったデータ144名のデータの分析を4月から行い、その後論文の執筆を行った。7月には論文が完成したので、Language Testing in Asiaという国際学術誌に提出を行い、査読を経て10月に出版した。その後、データ収集に協力していただいた9つの高校に出向き、英語科の先生に論文を手渡し、結果の概要を説明した。並行して、3つの学会 (全国英語教育学会@島根県、SLRF@オハイオ州・アメリカ、ALANZ@オークランド・ニュージーランド)において結果を発表し、様々な研究者や英語教育関係者に聞いてもらい、質疑を行った。 交付申請書作成時、センター試験の英語が、将来的に民間の4技能試験に取って代わることが既に決定していた。それに伴い、文部科学省の有識者会議において、センター試験と民間試験の得点換算表を作成することが提唱されていた。そこで数ある民間の4技能試験の中で、比較的短い時間で、かつ安価で受けられ、しかもレベルが高校生向けのTOEFL JCを選び、この点数とセンター試験の点数の相関係数を出し換算表を作成することが、研究の当初の目的であった。しかし後者のテストの運用停止により、その本来的な意義は失われた。 結果として学習指導要領に沿った2技能試験と、沿っていない4技能試験の間にかなり高い相関が得られた。また因子分析の結果でも、両者のテストが似たような能力を測定していることがわかった。つまり従来のセンター試験がTOEFLで測定するような英語運用能力を測定していることがわかった。これはTOEFL JC以外の他の民間の4技能試験でも、十分にセンター試験の代わりになりうることを示唆する。
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