中学校、高等学校では公開授業その他さまざまな機会に授業研究が行われる。その際教育庁の職員および大学教員が観察をして授業担当者を交えてコメントを伝えるといった方法が行われている。しかしながら、このような方法が現職教員の指導力養成に結びついているのか、授業を観察される側の教員の望む方法なのかどうかは十分に理解されていない。本プロジェクトでは、現職教員と懇談会を開き、聞き取り調査を行い、さらにアンケートを実施し、現職教員が従来の授業研究をどのように捉えているのかを明らかにし問題点を特定した。定性的分析および定量的分析の結果、現職教員は以下のような授業研究の在り方を望んでいることがわかった。すなわち、1)授業者、観察者ともに前向きになれるよう、お互いが成長しあえるよう、授業者の伸びしろ、改善点、可能性に言及したコメントを言い合う。2)授業者や授業公開校が観察者に注目してもらいたい点を指導案の中で明示することで、意見交換会の中でその点について話題にあがるようにする。3)コメントの一方通行や個人的な授業者への攻撃的なコメントをさけるためにフィードバックの循環や建設的な意見交換を行う。4)質の良いコメントを引き出すための工夫が必要である。5)研究授業の活性化、活発化のために同僚との意見交換が重要である。6)課題意識、授業研究の共有化。7)研究授業活性化、活発化のための組織化、リーダーシップが大切である。以上の結果に基づき、より充実した授業研究を行うための方法を教育学および第二言語習得研究の研究成果に基づき提案した。すなわち、1)定量的授業分析方法、2)ダイアリー・スタディー、文字起し資料作成方法、3)インターアクションのパターン分析、4)動機付け効果の検証、5)教室内学習者評価、6)アップテーク・リコール・チャート、7)発話の誤りの対処法、8)発問の方法等である。
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