研究課題/領域番号 |
15K02805
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
植松 茂男 同志社大学, グローバル地域文化学部, 教授 (40288965)
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研究分担者 |
ヒューバート ラッセル 京都産業大学, 文化学部, 准教授 (90411016)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | CLIL / 早期英語教育 / 教科化 / 先進的な取り組み |
研究実績の概要 |
本年度は研究2年目であり、以下の3点を目標にした。1)豊中市立千成小学校における新たな英語活動手法(CLIL)の導入。2)国内のCLIL実践者・研究者との交流や連携の強化、及び授業観察。3)海外のCLIL実践者・研究者との交流や連携の強化、及び授業観察・インタビュー。特にCLIL実施国だが、欧州の中で英語力が最も劣り、教員養成施策が追いつかないイタリアに焦点を当てる。具体的な内容は次の通りである。 1)千成小学校長の許可を得て、荒牧隆教諭が担当する5年生のクラスを授業観察、及び慣れてきてからは荒牧教諭と共に指導方法の改善や新しい取り組みを考える。千成小学校は1学年2クラスの小規模校なので、2クラスとも実施。 2)日本児童英語教育学会、小学校英語教育学会、大学英語教育学会などに於いてCLIL関連の実践・研究発表をしている教諭や研究者と交流の機会を持つことに努めた。その中で実際に授業を見せていただいた宇都宮大学山野有紀准教授に、10月14日(金)に5年生1組、2組でCLILの模擬授業を行っていただいた。豊中市教育委員会も視察し取り組みを学んだ。 3)8月28日(日)から31日(水)にイタリア、アンコーナ県シローロで開催されたlingua e nuova didattica (LEND)第2回国際サマースクールに参加。イタリアを中心とするCLILを学ぼうとする小・中(前期・後期)の教員や、Aberdeen大学教授のDo Coyle氏、Calabria大学講師Teresa Ting氏、LEND会長Silvia Minardi氏などと知り合い、多くを学んだ。さらに2017年2月20(月)から24日(金)まで、イタリア、トレンティーノ県、トレントに於いて、Sanzio小学校、Bresadola前期中学校、Russel後期中学校にて、授業観察、教員へのインタビューを実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
徐々に調査研究の成果が上がりつつある。上記の「研究実績の概要」にまとめた調査・実践で得られた成果は、以下の通りである。1)千成小学校の授業に新たな取り組みが取り入れられ、授業が活性化した。学校長をはじめ教員も新たな知見を得た。2)山野氏の模擬授業は児童のみならず、教室の後ろや横で見ていた教員・教育委員会関係者・親もを惹きつけ、新たな取り組みへの可能性ともティベーションを与えた。3)イタリアの小・中学校の教員も、様々なハンディ(英語力のなさ・経済的負担、時間の負担の増大)を抱えながらもCLILを意欲的に学ぼうとしている姿に勇気を与えられ、同じような状況にあるわが国の打開策を検討する上で大変参考になった。こららの成果は、大学英語教育学会等の学会で複数回に分けて発表するつもりである(初回は2017年1月に実施済み)。また、イタリアのCLILの現状と課題については、インタビュー結果を含め、2017年9月までには論文に取りまとめ、公表する予定である。そのための作業も順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は調査最終年度であるので、最高学年に上がった千成小学校の6年生の児童たち2クラスを対象に継続的な調査取り組み続け、CLIL学習により外国語(英語)能力の向上への効果だけでなく、教科内容をさまざま変えることによって、限られた時間数ではあるが児童に「経験的学習(experiential learning)」の効果が現れるかどうかに関しても、学力テスト等の経年比較をもとに調査したい。またCLILの根底のスキルの重要な柱である「コミュニケーション」能力の涵養に関しても、国内外の専門家とともにCLILが早期英語教育で果たす役割の可能性について検討を行い、全ての調査結果をまとめるとともに問題点を洗い出して整理をしたい。さらに、本研究3年間の成果をまとめ上げて研究発表や出版物にして世に提言し、教科化への移行時に資する資料に仕上げたい。
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