研究課題/領域番号 |
15K02820
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
高綱 博文 日本大学, 公私立大学の部局等, 教授 (90154799)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | グレーゾーン / 占領地 / 植民地 / 国際比較 / 協力者 |
研究実績の概要 |
<グレーゾーン>という概念は、帝国主義やファシズムの支配への対応の一つとして新たに提起されたものとしてがある。帝国主義やファシズムの支配を受けた占領地・植民地において毎日の生存自体が切迫した課題となるような状況において、現地エリート層や民衆にとって<グレーゾーン>は主体的な積極的な選択肢の一つであったことを歴史的に検証する必要がある。さらに占領地・植民地における<グレーゾーン>を国際比較することにより歴史学の新たな方法を探求するものである。2015年度の主要な研究実績しては、以下の2つがある。 1 2015年12月5日,明治大学駿河台キャンパスにおいて下記のような《 国際シンポジウム 》を開催した。テーマ:抵抗と協力の狭間で―占領地・植民地における<グレーゾーン>国際比較の視点から― 問題提起 高綱博文(日本大学)・「台湾植民地統治におけるグレーゾーン」呉文星(台湾師範大学)・「韓国における植民地国家と植民地のグレーゾーン」尹海東(漢陽大学)・「ナチ占領下フランスにおけるグレーゾーン」 渡辺和行(奈良女子大学)・パネラー:剣持久木(静岡県立大学)・広中一成(愛知大学) 司会:堀井弘一郎(日本大学) 2 歴史学会機関誌『史潮』新78号(2015年12月)において「特集 占領地・植民地における<グレーゾーン>」を組み、次のような諸論文を掲載した。「巻頭言」高綱博文・「ナチ占領下フランスにおけるグレーゾーン」渡辺和行・「日本占領下上海文化の<グレーゾーン>を考える」鈴木将久・「台湾植民地統治におけるグレーゾーン」呉文星・「韓国における植民地国家と植民地のグレーゾーン」尹海東
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題である「占領地・植民地における<グレーゾーン>問題の国際比較」に関する国際シンポジウムを組織・開催し、ナチ占領下のフランス・日本占領下の上海、そして帝国日本の植民地の台湾・朝鮮における<グレーゾーン>の実態にアプローチしながらそれぞれの特徴について国際比較しながら討論した。その成果は『史潮』新78号に特集号として発表した。 また、日本占領下上海における<グレーゾーン>の先駆的研究であるPoshek Fu, Passivity,Resistance,and Collaboration; Intellectual Choices in Occupied Shanghai,1937-1945の一部翻訳を行い、また古厩忠夫の戦時上海における <グレーゾーン>研究を紹介したところの高綱博文編『戦時上海』(上海遠東出版社、2016年3月)中文版を出版した。
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今後の研究の推進方策 |
1 海外から研究協力者等を招請して占領地・植民地における<グレーゾーン>に関する国際シンポジウムを組織・開催し、また<グレーゾーン>に関する研究報告を国内外の 学会等で行い歴史の方法論として重要性を明らかにする。 2 占領地・植民地における<グレーゾーン>に関するワークショップを組織し、先行研究の検討会や文献史料目録の作成等の基礎作業を連携研究者や研究協力者と分担して行う。 3 占領地・植民地における<グレーゾーン>に関する国内外の史料調査及び収集・整理を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
1 購入予定であった占領地・植民地<グレーゾーン>関係文献資料が入手できなったため。 2 国際シンポジウムへの海外からの招請予定者が来日できなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
1 植民地・占領地<グレーゾーン>関係文献資料を国内外において調査し入手に努める。 2 本年度も国際シンポジウムを開催して海外から研究者を招請するとともに、海外の国際学会に赴き<グレーゾーン>に関する研究発表を行う。
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