研究課題/領域番号 |
15K02820
|
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
高綱 博文 日本大学, 通信教育部, 教授 (90154799)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | グレーゾーン / 占領地 / 植民地 / 協力者 / 国際比較 |
研究実績の概要 |
<グレーゾーン>という概念は、帝国主義やファシズムの支配への対応として新たに提起されたものである。帝国主義やファシズムの支配を受けた植民地や占領地において、現地エリート層や民衆にとって<グレーゾーン>が主体的且つ積極的な選択肢の一つであったことを歴史的に検証する必要がある。さらに植民地・占領地における<グレーゾーン>問題を国際比較することにより歴史学の新たな方法を探求するものである。2016年度の主な研究業績は、以下の通りである。(1)(2)(3)(4〉はいずれも<グレーゾーン>を分析概念として日本占領下の上海の<グレーゾーン>問題の歴史的な検証を試みたものである。(5)は日本占領下中国と植民地期朝鮮における<グレーゾーン>研究の動向を整理したものである。 (1)編著『戦時上海のメディア』(研文出版、2016年10月) (2)国際シンポジウム<グレーゾーンとしての戦時上海>2016年11月20日、日本大学通信教育部で開催。日本占領下の戦時(1937~45年)上海における<グレーゾーン>について、上海社会科学院歴史研究所の馬軍・葛涛両研究員等を招聘し、報告と討論を行った。 (3)拙稿「上海最後的日文報紙打『改造日報』」(上海社会科学院歴史研究所『史林』2017年第1期) (4)共著『戦時上海グレーゾーン』(勉誠出版、2017年2月) (5)拙稿「占領地・植民地の<グレーゾーン>問題について}(日本大学通信教育部『研究紀要』第30号、2017年3月)
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題である「占領地・植民地における<グレーゾーン>問題の国際比較に関しては平成27年度のナチ占領下のフランス、日本占領下の上海、帝国日本の植民地台湾・朝鮮の<グレーゾーン>の実態解明と比較のための国際シンポジウムを開催したが、そこで提起された<グレーゾーン>概念を定義を深めるために、平成28年度は下記のことを試みた。 (1)中国の研究者を招聘して「戦時上海における<グレーゾーン>」に関する国際シンポジウムを開催し、<グレーゾーン>分析概念の有効性を歴史的に検証した。 (2)帝国日本の占領下中国、植民地朝鮮における<グレーゾーン>研究を整理し、同概念の理論的な有効性を考察した。
|
今後の研究の推進方策 |
(1)平成27年度、28年度に引き続き海外から研究協力者等を招聘して占領地・植民地における<グレーゾーン>問題に関する国際シンポジウムを組織・開催し、また<グレーゾーン>に関する研究報告を国内外の学会等で行い歴史方法論としての重要性を明らかにする。 (2)占領地・植民地における<グレーゾーン>問題の先行研究の整理を継続し、特に特に西洋史研究者による<グレーゾーン>研究の動向を把握する。 (3)占領地・植民地における<グレーゾーン>問題に関する国内外の資料文献調査及び収集・整理を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
購入予定であった占領地・植民地<グレーゾーン>関係文献資料が当該年度内に入手できなかったため。
|
次年度使用額の使用計画 |
上記の購入予定の関係文献資料の入手に努める。
|