本研究は、占領地・植民地における支配権力への協力者と現地民衆のあり方に「グレーゾーン」を想定して国際比較の視点から検討することを試みた。国際シンポジウム及び研究会を開催し、ナチ占領下フランス、日本占領下の中国、日本植民地下の台湾・朝鮮などにおける「グレーゾーン」問題について比較研究を実施した。研究成果は、『史潮(新78号)』、『アジア遊学(205号)』、『現代中国研究(39号)』などに「グレーゾーン」をテーマとする特集として掲載した。「グレーゾーン」の研究は新たな発見を生み出す有力なアプローチであるが、同概念は多義的であり歴史学の分析概念としては更なる検討・陶冶が必要あることが明らかになった。
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