戦国時代において、合戦での「大敗」が戦国大名家や大名領国に与えた影響を多面的に分析するという本科研の研究趣旨のもと、研究期間の最終年次にあたる本年度は、3年間の調査・研究の成果を取りまとめるとともに、補充的な調査を行った。また、6事例のなかで関連する史料の残存量が比較的多い長篠合戦については、収集した史料のデータ化と整理を行う必要があるため、前年度から引き続き学術支援専門職員1名を雇用した。 このうち現地調査として、2017年11月15日から17日にかけて、研究代表者及び連携研究者ら4名(計5名)で福島県に赴き、第2回研究会を開催して人取橋合戦に関する先行研究の到達点を確認するとともに、それぞれの合戦故地の踏破を行った。現地では、城郭・道路遺構など合戦故地における戦国期関連史跡の調査に軸足を置くとともに、本科研の研究目的の一つでもある戦後供養のあり方を検証する手がかりとして、戦後から後世における供養塔・鎮魂碑なども調査対象に含めた。なお本調査に際しては、現地の状況に精通しておられる山田将之氏(伊達市教育委員会)にご同行をいただき、種々のご教示に預かったことを付記しておく。 また、3年間の成果公開の場として、2017年12月2日に東京大学において、公開研究会「戦国合戦<大敗>の歴史学」を開催した。これは一般共同研究「関連史料の収集による大内氏の出雲出兵敗北とその影響の研究」(研究代表者山田貴司)と共催したもので、本科研に参加している共同研究メンバー7名が研究成果の報告を行った。当日は学部学生を含む103名の参加を得た。
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