研究課題/領域番号 |
15K02837
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研究機関 | 島根県立大学 |
研究代表者 |
石田 徹 島根県立大学, 総合政策学部, 准教授 (90386524)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 対馬 / 朝鮮 / 訳官使 / 問慰行 / 宗氏 |
研究実績の概要 |
平成30年度の本研究では、これまでに調査収集した「訳官使」関係の史料の分析を基に、3本の報告(「外交儀礼の観点から見る近世対馬・朝鮮間における『交隣』の実態」(7月15日@「東アジア世界における朝鮮の「交隣」―歴史的展開と現代的意味」シンポジウム)、「対馬藩における訳官使接遇の諸様相」(9月6日@「16-19世紀東アジア国際秩序の成立と変容」シンポジウム:訳官使・通信使とその周辺)、「近世対馬における日朝関係認識:『隣交』を手がかりに」(11月16日@「16-19世紀東アジア国際秩序の成立と変容」シンポジウム:日本・朝鮮・中国三国比較という視点 )を行い、「対馬藩における訳官使接遇の諸様相」は『歴史の理論と教育』152号に掲載された。 上記、前1者は、史料上の制約もありまだ既存研究(米谷均)を越えるところまでは達せていないため、引き続き史料調査・分析が必要だが、後2者の報告は、国内の既存「訳官使」研究(大場生与・池内敏)を踏まえつつ、これまで紹介されてこなかった史料を用いて、「訳官使」の実態把握に努めたものである。 その他、史料調査・収集も継続して行い、8月2~11日、2019年3月24~30日に大韓民国国史編纂委員会において宗家文庫史料の調査収集を行った。なお、本研究では長崎県立対馬歴史民俗資料館での史料調査が重要な位置を占めているが、当該資料館が平成29年度より整備のため休館しており、研究計画に変更を加えざるを得なくなったため、事業期間の延長をするに至った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度は、訳官使と通信使との統合的研究を進めておられる池内敏名古屋大学教授からのお誘いで関連シンポジウム(「16-19世紀東アジア国際秩序の成立と変容」シンポジウム)に共催参加させていただき、2本の報告ができ、これまでの遅れを取り戻すことも出来た。ただし、先述の通り、対馬歴史民俗資料館が閉館中のため、当該館所蔵の宗家文書調査は滞ったままである。
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今後の研究の推進方策 |
筆者が当初得ていた情報では2019年度に対馬歴史民俗資料館の工事完了、閲覧再開可能ということだったのだが、今なお工事は完了せず、閉館中のままであり、残念ながら対馬での史料調査は補助事業期間を延長してもなお、本研究課題期間中には出来ないことが判明した。その一方で、韓国国史編纂委員会所蔵の「訳官使」関係資料は、膨大な数ではあるが、継続的な調査収集の甲斐あり、今年度の調査収集で、ひとまず収集しきれる見通しが立った。したがって本年度は収集の完遂と史料分析、ならびに成果の発表に努めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
史料調査先の一時閉館のため、平成29年度より補助事業期間延長を念頭に研究を進めてきたことによる。この分で韓国国史編纂委員会での史料調査を行い、残った史料収集を行う計画である。
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